研究課題
オートファジーは細胞の自己成分を分解しアミノ酸として再利用する作用である。基礎的にオートファジーの細胞保護作用が研究されているが、臨床検体における評価は困難で、その臨床研究はあまり進んでいなかった。本研究では、ヒトの不全心筋におけるオートファジーを予後・画像所見を含めた臨床像や分子遺伝学的情報と比較することにより、心不全の重症度を非侵襲的に予測し悪化を予防する方法を見出すことを目的とした。このため32例のDCM患者における心筋症関連遺伝子発現およびオートファジー関連遺伝子発現の全エクソーム解析による網羅的探索を行ったところ、以下のような結果が得られた。(1) 筋原線維をコードする遺伝子の変異を認めた症例の心筋細胞を電顕で観察したところ、各遺伝子変異に応じた特徴的な超微形態変化を認めた。(2) 心筋細胞の広範な筋原線維の消失は、非特異的な変化である可能性が示唆された。(3) オートファジー関連遺伝子の変異を探索したところ、電顕でオートファジーを認めない症例に特徴的な遺伝子の変異を認めた。これらを論文化し、現在投稿中である。また、1年目(2017年度)に得られた結果を論文化し、ESC Heart Failure誌に原著論文として掲載された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
ESC Heart Fail.
巻: 7 ページ: 682-691
10.1002/ehf2.12662.
Eur Heart J.
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