心筋症の背景として慢性的な炎症が存在することが知られている。Fluorine-18 fluoro-2-deoxyglucose positron emission tomography (18-FDG-PET)は心臓の炎症の活動性や局在の診断に有用であり、全身性サルコイドーシスの一表現型である心臓サルコイドーシスにおいて保険償還されている。しかしながら、サルコイドーシス以外の心筋症においてはFDG-PETの保険適用はなく、FDG集積をメルクマルとした診断や治療法の選択は行われていないのが現状である。心筋疾患に対する18-FDG-PETの有用性の検討を目的とした。心筋疾患の一疾患である心臓サルコイドーシスは致死的不整脈と心不全を惹起し予後不良であり、早期発見と早期治療が重要である。しかし、孤発性心臓サルコイドーシスの診断は困難である。本研究において心機能の低下と心室性頻拍を同時に有し、18-FDG-PETにてFDG集積が陽性となった症例はごくわずかであった。しかし、持続性心室頻拍を伴う左心室収縮機能の急速な低下を示し、9か月以内にフッ素18フルオロデオキシグルコースポジトロン放出断層撮影の取り込み結果が陰性から陽性に変化した症例を経験し、論文報告(ESC Heart Fail . 2019 Aug;6(4):889-893.)した。特異度が低い心筋生検を繰り返す行うことは侵襲的で起源であるが、本症例では連続フォローアップのポジトロン放出断層撮影が、孤発性心臓サルコイドーシスの診断に有用との結論を得た。
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