研究課題
本研究の目的は慢性血栓塞栓性肺高血圧症の前段階である慢性肺血栓塞栓症の発症に線溶系異常と内皮機能障害の双方が必要であることを検証することである。しかし、実験開始後に本仮説を証明するために当施設で確立していた慢性血栓塞栓症のモデルマウスの再現性が乏しいことが発覚した。慢性血栓塞栓の再現性は乏しかったが、肺高血圧症を本モデルマウスで作成することはできていた。本モデルマウスの作成工程が内皮障害を来したマウスに血栓塞栓を作成することであるため、内皮障害を有する血管の血栓への生体反応に着目することにした。近年、血管内皮細胞が血管内異物を貪食し血管外へ排泄する能力(Angiophagy)が報告された(CK Lam et al. Nature. 2010)。Angiophagyは亜急性期から慢性期に血栓を血管外へ排泄する機能であることも報告されており(Grutzendler J et al. Science. 2014)、慢性肺血栓塞栓症の発症に関連する血管内皮機能である可能性がある。そこで、慢性肺血栓塞栓症の発症機序を解明するために、本研究の目標を血栓に対する血管内皮機能であるAngiophagyについて、肺血管内皮細胞を用いて解析することに変更し、本研究を進める方針とした。正常肺動脈内皮細胞における異物貪食に関する異物貪食能、細胞遊走能、アポトーシスを組織学的に検証した。今回の検証で肺動脈内皮細胞に異物貪食能があることが確認され、細胞遊走能やアポトーシスが異物の貪食の有無にかかわらず有意差がないことが確認された。今後は、肺動脈内皮異常細胞モデル(低酸素暴露モデルおよび一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬による内皮障害モデル)を用いて、肺動脈内皮異常細胞で同様の検証を行う予定である。
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