研究課題
まず探索的に、通常の電気生理学的検査の際、右室流出路からの心室細動誘発を行うのに合わせ、やや上方の肺動脈主幹部(心室筋が補足されない部位)から高頻度電気刺激を行った。その結果、覚醒下では痛みを伴うことが分かり、当初計画を変更して、鎮静下での評価を行う方針とした。しかしブルガダ症候群に対する電気生理学的検査の際に鎮静をかけることは一般的ではないため、まずは心房細動に対する肺静脈隔離術の際に深鎮静を行うが、その際にコントロール群として評価する方針とした。心房細動アブレーションの手技として、左房の心外膜側の電位を評価するために肺動脈へ電極カテーテルを留置することがあるが、その時に合わせて高頻度電気刺激を行った。その結果、肺動脈主幹部では明らかな自律神経反応が得られなかったが、右肺動脈では著明な自律神経反応(徐脈、血圧低下)が得られることが分かった。また興味深いことに、同時に心房細動が誘発される事は無いことが分かった。これまでも左房側もしくは右房側から高頻度電気刺激を行うことで自律神経叢を同定できることは知られていたが、その際常に心房筋も同時に刺激されることで心房細動が誘発されてしまうことが問題であった。今回の発見により、肺動脈からの高頻度電気刺激によって、心房細動を誘発することなく自律神経叢のみ刺激・解剖学的位置の同定が可能であることが分かった。来年度は症例数を増やして検討する予定である。また自律神経は加齢とともに変化するが、ブルガダ症候群において心電図が加齢とともにどう変化するのかも検討し、それを同じ右室の病変である不整脈源性右室心筋症と比較した。現在論文として取りまとめており、英文誌に投稿予定である。
3: やや遅れている
当初はブルガダ症候群における電気生理学的検査に合わせて行う検査を予定していたが、覚醒下で肺動脈高頻度電気刺激を行うと痛みを伴うことが分かり、計画を変更した。そのため倫理委員会等の手続きが遅れており「やや遅れている」と評価した。
覚醒下では痛みを伴う検査であることが分かり、鎮静下で行うことに方針を変更した。また元々は肺動脈周囲の自律神経を焼灼することで肺高血圧症の治療が可能であるとの論文を基にしていたため、自律神経刺激と同時に肺動脈圧の測定も行う方針とした。来年度は、対象患者の選定を行い、症例数を増やす方針である。
当初の研究計画とは対象患者にずれが生じたため、全体の研究計画が遅れており、予定通りの予算消化とはならなかったため。
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臨床心臓電気生理
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Heart Rhythm Case Report
巻: 12 ページ: 595-598
10.1016/j.hrcr.2017.10.005.