研究課題
本研究では、ウイルス感染に伴うCOPD急性増悪における標的分子として、IL-17Aに着目し、IL-17Aの関与をin vivo及びin vitro双方から検討することが目的である。1.IL-17Aノックアウトマウス及び野生型マウスを繁殖し、poly(I:C)もしくはエラスターゼを単独で気管内投与し、PBS気管内投与群をコントロール群として解析を行った。Poly(I:C)もしくはエラスターゼ投与によって気管支洗浄液中の炎症細胞の総数がPBS投与群に比べて増加したが、野生型マウスに比してIL-17Aノックアウトマウスでは、各々の刺激での細胞数の増加が減弱されるのを確認した。また、エラスターゼ投与によるコンプライアンスの上昇が野生型マウスに比して、IL-17Aノックアウトマウスで軽減するのを確認した。上述した過程をエラスターゼに加えてCSEでも確認する予定であり、今後は刺激を組み合わせることで肺気腫モデル増悪モデルの確立を行い、増悪モデルにおけるIL-17Aノックアウトマウスと野生型マウスの相違の解析を引き続き行う予定である。2.IL-17Aの長期暴露が細胞に及ぼす影響の評価を行うために、IL-17Aでpre-conditioningされた気道上皮細胞にpoly(I:C)で刺激を行ったが、IL-17Aとpoly(I:C)を同時刺激した場合と比してCXCL8を中心としたケモカイン発現の検討を行ったが意義のあるケモカイン発現の変動は認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
in vitroの実験では有意な結果が出なかったものの、急性増悪モデル確立に向けた途上の結果は順調に出ており、マウスの繁殖も順調に進んでいる。予定通り、増悪モデルにおけるIL-17Aノックアウトマウスと野生型マウスの相違の解析を引き続き行う予定である。
引き続き、肺気腫増悪モデルの確立及びその解析を行う予定である。また、poly(I:C)もしくはエラスターゼの単独投与に伴うIL-17Aノックアウトマウスと野生型マウス間の肺の遺伝子発現変動の相違をRNA-Seqで解析途上及び予定であり、そこから抽出された意義の高い分子をマウスモデルや細胞実験においてさらに解析する予定としている。
当初、細胞実験で予想していたIL-17Aの長期暴露による気道上皮細胞からのケモカイン発現の変動の検討で有意な結果が得られず、マウス実験を先行していたため。今後はマウス実験を引き続き行いつつ、そこから得られた結果から細胞実験も施行予定である。
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