研究課題
本研究はIL-17AのCOPD及び急性増悪における関与、機序を解明する事を目的とした。増悪モデルでのIL-17Aの影響を検討するため野生型マウス及びIL-17A KOマウスを用いた。エラスターゼ投与によりCOPDモデルを作成し、さらにpoly(I:C)を投与し急性増悪モデルを作成した。既報通りIL-17A KOマウスでエラスターゼ投与による気腫の形成や呼吸機能におけるコンプライアンスの上昇は抑制された。さらに急性増悪モデルでは気管支肺胞洗浄液中の好中球を含めた細胞数が著明に増加するがIL-17A KOマウスで有意に抑制された事から急性増悪モデルにおいてもIL-17Aの病態への関与が示唆された。IL-17Aがウイルス感染を主因とする急性増悪に関与する機序を探索する目的で、まず野生型マウス、IL-17A KOマウス両群のpoly(I:C)投与後の全肺での遺伝子発現変動の差異の解析をRNA-seqを用いて行い、IL-17A KOマウスで2倍以上発現が減弱した全2540遺伝子の中で同時にCOPDモデルへの関与が報告されている分子の検索を行った。その結果、気道炎症や気腫化に対する治療標的分子として注目を集めているa disintegrin and metalloproteinase (ADAM) 10及びADAM17の2つの分子に着目した。COPDモデルでADAM17は発現が亢進し、逆にADAM10の発現は低下を認めた。急性増悪モデルではよりその傾向が顕著となった。さらに、これらの発現の増減はIL-17A KOマウスで有意に減弱した。以上からCOPD、急性増悪モデルにおいてADAM10、17の発現が変動し、その発現変動に対してIL-17Aが関与する可能性が示唆された。現在、ADAM10、17の発現と気道炎症、呼吸機能、病理像との相関を検討する事で病態への関与を検討している。
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Allergol Int.
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10.1016/j.alit.2018.08.005. Epub 2018 Sep 6.
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