研究課題
新規のIP誘導モデルであるBiCIP法は、ブレオマイシンの気管支投与法を改良した方法で、線維化を伴う慢性のIPを誘導する。本研究では、この手法を用いて①BiCIP肺における組織学的特徴 (線維化率、炎症率)を明らかにし (2017~2018年度)、②BiCIP肺に抗線維化剤ニンテダニブの連続経口投与を行い、治療効果を検討した (2018~2019年度)。2019年度は、①で明らかとなった組織学的特徴を基に、抗線維化剤ニンテダニブの治療効果を検討した。1) 病理組織像の作成および、線維化の病理評価、2) 間葉系細胞による線維化率、3) 炎症系細胞の浸潤率 (炎症率) 等の項目で評価を行った。これまでの試験において、D1CC x D1BCマウスを用いた新規のIP誘導モデルであるBiCIP法は誘導後2週目にNon-specific interstitial pneumonia (NSIP) を示した後、6~8週にかけて緩解し、その後14週でUsual interstitial pneumonia (UIP) 様の症状を示すことが示唆され、二峰性の線維化を示すことが明らかとなった。肺炎の誘導後、2週目の肺において多数の炎症細胞の浸潤が確認されたが、この炎症細胞は、14週になるとほぼ未誘導時の状態まで低下し、炎症状態が抑制されていた。本内容に関しては現在論文投稿中である。2018~2019年度にかけては、このような症状を示すBiCIP法を用いて、ニンテダニブの連続経口投与による線維化抑制効果を検討した。ニンテダニブ投与は緩解期である投与後6週目より14週まで連続投与を行った。ニンテダニブ投与により、肺の線維化の抑制が確認できた。以上の結果より、ニンテダニブ投与はBiCIP法により誘導した線維化モデルに対し、抗線維能を示すことが明らかとなった。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Cellular and Molecular Medicine
巻: 23 ページ: 7043-7053
10.1111/jcmm.14603.
JBMRplus
巻: 3 ページ: e10132
10.1002/jbm4.10132.