研究課題/領域番号 |
17K16056
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
長島 広相 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10611014)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | IL-24 / 気管支喘息 |
研究実績の概要 |
気管支喘息患者は気道リモデリングの進行により肺機能低下と気道過敏性の亢進がおこるため著しくQOLが低下する。しかし現在その詳細な機序については解明されていない点が多く、本質的な治療は行えない状況にある。IL-24についてはこれまで創傷治癒過程における役割や、腫瘍に対する放射線感受性増強効果についての報告はされているが、気管支喘息などアレルギー性気道炎症、さらに呼吸器炎症性疾患全般における役割は未だ明らかではない。予備実験で気管支喘息患者の中で、喫煙歴が無く喘息以外に呼吸器疾患のない患者において、肺機能検査において異常を認めないか、または予測値の80%以上を示す軽度の気流制限のある患者と、気管支拡張薬吸入後の肺機能検査で1秒量、予測1秒量、1秒率などが予測値の80% 未満を示す中等度から重度気流制限のある患者を対象に気管支洗浄液と気管支粘膜生検組織を採取施行し、肺機能が低下した喘息患者群における洗浄液中のIL-24濃度が、肺機能が保たれている喘息患者群のそれに比し高いことを確認している。IL-24が気道リモデリングに果たす役割を明らかにすることを目的とし、気管支喘息患者の気管支生検組織においてIL-24産生細胞を同定することを念頭に免疫染色を行った。2017年度は時間的制約もあり、新規での気管支喘息患者の検体も入手も困難であったため。気管支喘息患者の検体は使用せず、肺癌患者、間質性肺炎などの患者の手術検体をパラフィン包埋の肺組織を用いての予備実験的に免疫染色を行った。また今後気管支喘息患者の凍結検体を免疫染色する予定であり、マウスの肺凍結検体をクライオスタットで切片を作成し、免疫染色を行い手順を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2017年4月より、岩手県立中部病院へ第一呼吸器科長として赴任。同院は岩手県人口10万人規模の基幹病院であるにもかかわらず、呼吸器科常勤医として自分も含めて3人(内一人は後期研修医)しかおらず、その人数で土日も含めて急患対応をする必要があった。中部病院から大学までは50㎞程度離れており、急患が発生した場合の対応を考慮すると大学に行くこと自体がなかなか難しく、またまとまって研究する時間を確保するのが非常に困難であった。そのため単発的は技術確認及び論文検索を行うにとどまった状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年4月より岩手医科大学へ帰任した。また通常業務時間内にも研究時間の確保を配慮いただいた。今年度以降は着実の研究をすすめていく予定である。 今後は残り研究期間を考慮し、新規の患者の気管支鏡検査追加は行わず、これまでに採取し、保存していた凍結検体を用いて、IL24抗体で染色し、IL-24陽性細胞を同定を行う。また、気管支線維芽細胞の核内においてIL-13 の刺激によりSTAT 1がリン酸化されIL-24のプロモーター部へ結合、IL-24 mRNAとタンパクの産生が開始されると考えられるのでそのためIL-13環境下におけるIL-24の気道上皮細胞の障害修復に対する抑制作用の検討目的で、気管支線維芽細胞を培養皿内で培養し、共培養用のチャンバーを上部に挿入し気道上皮細胞を播種する。上皮細胞がコンフルエントになった時点でMMP-2あるいはTGF-βを添加し、上皮細胞をピペットチップの先で直線状に剥離しチャンバー底を露出させる。その後培養皿内の線維芽細胞をIL-13で刺激し、24・48時間後の損傷部の間隔を比較する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度に地方病院出張のため研究がおもうようにすすめられず、必要な備品の購入も行わなかったため、今年度以降より速やかに研究に必要な共培養用の細胞培養皿、上皮細胞・線維芽細胞培養液、刺激用サイトカイン、細胞固定液・蛍光抗体 (培養細胞免疫染色)など 可溶性IL24受容体、IL24抗体・IL24受容体抗体の購入を行うためである。
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