研究課題/領域番号 |
17K16058
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
毛利 篤人 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (20774657)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ニボルマブ / 免疫阻害薬 / 免疫チェックポイント / 投与間隔 / 拡大 |
研究実績の概要 |
当施設における免疫チェックポイント阻害薬Nivolumabが投与された肺癌症例について、治療介入前と介入後の末梢血単核球(PBMC)を解析するための末梢血液検体採取がほとんどの治療症例において、同意のもとでなされている。さらに、奏功が得られていたり、有害事象により中止を余儀なくされたり、免疫チェックポイント阻害薬の再投与を行った症例については積極的に事象前後のPBMC採取を行っている。多くの症例の末梢血液の単核球細胞の解析を開始しており、その差異や特徴を検証している段階にある。 臨床経過についても検証しており、効果が得られている群と効果不良の群、その中間群に分類できると考えており、そのうち、奏功群の臨床経過についてを検討し、平成29年7月臨床腫瘍学会にて学会発表とした。免疫チェックポイント阻害薬治療の奏功後の臨床経過についての報告は未だ希少であり、多癌腫にわたって適応承認されてきているため、多くの癌治療において注目が集まる内容と思われる。奏功維持期間について評価し、また、有害事象などにて投与中断となっていても腫瘍縮小が維持されている症例が散見され無治療経過にて無増悪生存期間を保持される症例が存在することがわかった。 Nivolumabの標準治療としての投与間隔を拡大する臨床試験を開始することはなせておらず、単群アームによる第2相での探索的研究を行うには症例集積に不足が見込まれ、投与間隔を拡大することによるおこり得る利益と不利益を考慮した上で、効果安全性評価や監査、モニタリングを行うべきで、当院IRB委員会では臨床研究保険に参加することが義務化されている。今後さらに追究の上、臨床試験を展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当院での肺癌治療においてNivolumabによる奏功が得られた症例について、継続治療後に増悪もしくは有害事象によって投与が中止されるという転機の頻度や奏功期間などのことを検証することができた。 単群アームによる第2相での探索的研究を行うには、わずかながらに公表されている既存データをもとに症例設定人数を検討しなくてはならない。プライマリーエンドポイントをNivolumab投与開始後から1年経過時点での無増悪生存割合としており、その期待値を60%閾値を30%と設定して、αエラーを0.2、検出力を80%とした場合の必要症例数は20例とした。 免疫チェックポイント阻害薬を導入し、奏功が得られ、有害事象による中止などの投与中断なく治療が継続されていて、かつ本試験の同意が得られる症例が対象となるが、単施設での症例集積では研究期間内での到達は困難と思われる。参加施設を増設するか、症例適格基準として、他の免疫チェックポイント阻害薬治療例も組み入れたり、治療継続期間の定義を変更したりするなどの工夫が必要と考えている。 当施設IRB委員会では、臨床試験における保険加入が義務づけられており、保険加入検証にも時間を要しており、臨床試験の設定と費用についての検討も遅延理由と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
単施設で行う臨床試験の内容として再検証が必要と思われる。 免疫チェックポイント阻害薬を導入し、奏功が得られ、有害事象による中止などの投与中断なく治療が継続されていて、かつ本試験の同意が得られる症例が対象となるが、単施設での症例集積では研究期間内での到達は困難と思われる。phaseⅡ試験ではなく、pirot studyとするか、参加施設を増設するか、症例適格基準として、他の免疫チェックポイント阻害薬治療例も組み入れたり、治療継続期間の定義を変更したりするなどの工夫が必要と考えている。 末梢血単核球採取とその評価は継続して行い、治療奏功例の臨床的特徴や病変増悪時点での末梢血リンパ球の変化など、今後、多くの癌腫に適応となる免疫治療における臨床的課題を追求すべく研究は推進していく。
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