研究課題
悪性腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬治療は効果が得られる症例と効果が得られない症例に分かれる。現在において、治療効果を明確に分別できる有能なバイオマーカーはない。長期的に腫瘍縮小効果が持続する症例のうち、投薬を中止してもその効果が持続する症例が存在する。薬物治療により腫瘍免疫環境が変化し抗原提示により活性化されたリンパ球が抗腫瘍として働く状態が維持されれば、その効果はある程度の期間持続すると予測される。非小細胞肺癌の標準治療として2次治療以降で投与されたNivolumabにより腫瘍縮小効果(RECIST CR/PR)が確認された症例を対象としてその投与間隔を拡大する試験を計画した。薬剤投与間隔を2周から4週へと拡大し、治療効果が維持されるか否かについて評価する目的であったが、臨床研究法の改訂にあたり、研究内容が特定臨床研究となることがわかった。そこで前向きな介入研究ではなく、腫瘍縮小効果が得られた症例を後ろ向きに観察し、一度、効果が得られた症例が有害事象などにより投与中止となった場合の予後や効果不良となった場合の機序を解明する観察研究に変更とした。有害事象による治療中断症例と有害事象中断後に治療を再開した症例の無増悪生存期間や全生存期間においては有意差はみとめられなかった。再投与をおこなった場合、一定の割合で再び有害事象が出現し、再び投与中止が迫られる症例が存在することがわかった。また、効果が得られた症例の末梢血単核球を検討した結果、CD62lowCD4リンパ球の割合に相関関係がみられた。その他、表面抗原の変化が治療効果と相関する可能性が見出された。今後も免疫チェックポイント阻害薬治療の臨床経過に相関する因子を追求し、治療効果の維持と関連した指標や別の治療の付加などを行うことによるさらなる効果の維持といった新たな治療戦略を展開するための研究を継続する。
すべて 2019 2018
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