研究実績の概要 |
(1)肺炎球菌感染マウスモデル:8-10週齢の C57BL/6 マウスに対し、血清型6Cの肺炎球菌を経鼻投与した。このモデルは致死的モデルではないが、気管支肺胞洗浄の総細胞数の推移は肺炎球菌投与後12時間と7日目にピークとなる。12時間後は好中球が上昇し、7日後は組織球が上昇する。気管支肺胞洗浄の細菌量は7時間後、肺組織の細菌量は12時間後にピークとなる。(2)マウスに対するMSC投与:マウスMSCは肺炎球菌感染の1時間後に経静脈的に100万個/200μLを投与した。(3)肺炎球菌感染モデルマウスに対するMSC投与:上記の条件で行ったところ、コントロール群に対し、MSC投与群では、24時間後の気管支肺胞洗浄液における総細胞数、好中球数、MPO活性の減少がみられた。また、気管支肺胞洗浄液中のサイトカインを測定したところ、コントロール群に対しMSC投与群では24時間後のTNF-α、IL-6、IFN-γおよび6時間後のGM-CSFが減少していた。さらに、CXCL-1とCXCL-2は24時間後で減少がみられた。また、24時間後の細菌量が減少していた。一方、気管支肺胞洗浄液において、炎症による肺水腫(透過性亢進)の程度を評価するために蛋白量および抗菌蛋白と報告されているlipocalin2の測定をおこなったが、MSC投与群において減少はみられなかった。(4)以上肺炎球菌感染モデルマウスにおける間葉系幹細胞の投与による保護効果を示し、報告した(Cytotherapy, 2018;20:302-313)また、肺気腫モデルに関して、エラスターゼ誘導肺気腫モデルマウスおよび喫煙誘導肺気腫モデルマウスを使用して、肺炎球菌増悪モデルを作成し、間葉系幹細胞の投与効果の検討を試みた。
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