研究課題
我々は、ラット腎皮質より単離した新鮮単離近位尿細管に対して、我々がが開発し、報告したSplit-Open法により、近位尿細管管腔側には、Na濃度非依存的に細胞内pHが変化する現象を認めた。さらにこの現象がV-ATPaseの特異的阻害剤であるBafilomycinによりほぼ完全に抑制されたことから、この現象がV-ATPase活性であることを同定した。近位尿細管V-ATPase活性は、10-8Mのインスリン刺激により約30%程度活性が亢進することが分かった。この活性は、Akt阻害剤であるAkt inhibitor VIII によりほぼ完全に抑制されたが、mTORC1の特異的阻害剤であるRapamycinの添加ではほぼ影響を受けなかった。一方、mTORC1/2の特異的阻害剤であるPP242の添加により、ほぼ完全に抑制された。以上から、近位尿細管のV-ATPase制御はmTORC2を介していることを見出した。次に、近位尿細管管腔側に発現している主要な輸送体であるNHE3に着目した。驚くべきことに、NHE3活性もV-ATPase活性と同様に、インスリンにより刺激され、この刺激作用は、Akt阻害剤によりほぼ完全に抑制され、mTORC1の特異的阻害剤であるRapamycinの添加では影響を受けなかったが、mTORC1/2の特異的阻害剤であるPP242の添加により完全に抑制された。このことから、近位尿細管のインスリンによるNHE3活性制御はmTORC2を介していることを見出した。以上から、インスリンは近位尿細管管腔側の酸塩基平衡に対して関与しており、その制御機構にmTORC2が関与していることが示唆された。
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Renal Replacement Therapy
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