研究課題/領域番号 |
17K16072
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
辻村 太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (90741893)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エンハンサー / 遺伝子 / 腎臓 / クロマチン |
研究実績の概要 |
エンハンサー解析のために、既存のBmp7レポーターマウス(LacZノックインマウス)を用いて、その発現パターンを解析することとした。特に、発生過程、および成体腎臓での発現を解析した。成体では既報と異なる所見があったため、in situ hybridizationなど他の方法も行いながら、詳細にその解析を進めている。特に、LacZのX-gal染色で、内在活性によると思われるバックグラウンドとの判別が困難な部位があることもあり、それを慎重に見極めている。 一方で、すでに保有しているBmp7周辺ゲノム改変マウスについて、尿採取、血液採取を進め、何らかの腎機能変化が見られるか解析を進めている。さらに、薬剤による外的刺激などで、急性腎障害を誘導する実験系を構築している。 また、当該遺伝子座周辺で、エンハンサーがどのように制御されるかについての研究も進めた。これまでにクロマチンの高次構造によりエンハンサー活性のその標的遺伝子への誘導が決定されることを示していた。周辺ゲノム領域におけるCTCF結合がそのクロマチン高次構造を決定することも示していた(未発表)。本年度、さらにその研究を進め、CTCFの結合が、周囲のコンテクストに応じてそれぞれ特徴的な機能を発揮し、それにより異なるレイヤーでクロマチン高次構造を形成することも示した。今後、こうしたCTCFのパターンがどのように腎臓などでエンハンサー制御を担うのか解明していく。 最後に、エンハンサーと遺伝子の相互作用を検出するシステムとしてDNA FISHの実験系を構築した。これまでマウスES細胞をモデルに行い、10kb程度の領域でも十分に検出できることを示した。従って、本技術を用いれば、腎臓などの複雑な組織でも、特定の細胞種におけるエンハンサーと遺伝子の相互作用を検出できるようになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既報と異なる発現パターンを検出し、その検証に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
発現パターンを明確に示す。 また、腎機能の評価系を確立し、各ゲノム変異マウスにおける腎機能、障害誘導時の容態をアッセイする。 遺伝学的手法や、エピゲノム解析を駆使しエンハンサーを同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
レポーターマウスの発現解析に予想外に時間をとり、他のゲノム変異マウスの解析に十分に手が回らなかったことが理由になる。 次年度使用額は、これら各ゲノム変異マウスの繁殖および解析に使用したいと考えている。
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