研究課題
本研究ではBmp7周辺のゲノム改変マウスの解析により、Bmp7の腎臓エンハンサーを探索し、またその表現型からBmp7がどのように腎臓の発生や恒常性維持に寄与しているのかを明らかにすることを目的としている。これまでに作成、維持していたゲノム改変マウスにおいて、成体腎臓の組織の観察を行った。すると、期待に反して、特に異常は見られなかった。さらに、採尿し、尿中アルブミン量の定量も行ったが、特に差は見られなかった。腎障害をを誘導し、その後の障害の程度に差があるかを検討しているが、まだ明確な結果は得られていない。これまで解析に利用してきたゲノム改変マウスのなかには、エンハンサー候補領域のみならず、クロマチン高次構造およびエンハンサーの標的決定遺伝子を制御する領域「TZ」も欠失されているものがあった。そこで、その影響も解析することを念頭に、TZの詳細な機能的解析も行った。CTCFタンパク質の結合に着目し、マウスES細胞においてその改変および、そのクロマチン高次構造形成への影響を前年度までに解析していた。本年度は、さらにデータ解析を進め、論文としてまとめることができた。それによると、「TZ」は大きく分けて2つのCTCF結合のクラスターに分けられ、Bmp7側にBmp7の方向に向いた3つの結合サイトにより構成されるクラスターと、その反対側には反対向き(隣接遺伝子Tfap2cの方向)に向いた4つの結合サイトにより構成されるクラスターとから構成される。そして、この配置、方向性が強力なクロマチン高次構造の分断を担っている。さらに、これらCTCF結合配列のみを抽出して機能解析したところ、実際にクロマチン高次構造の分断とエンハンサー活性をブルックすることができることも見出した。
3: やや遅れている
期待したような表現型が得られておらず、当初の計画と鑑みて進展しているとは言えない。しかしながら、こうしたデータも重要だと考えている。一方で、CTCF結合の機能解析については予想以上に進展させることができている。
これまでのデータをまとめ、論文として発表することに努める。またそのために必要なデータ等の取得に努める。
これまでのゲノム改変マウスにおいて顕著な表現型が見られず、先の解析を思ったように進めることができていないため。一方で、発現解析などに不十分な点が残ってしまっているので、これらの解析に利用する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
bioRxiv
巻: - ページ: -
https://doi.org/10.1101/534073
Epigenetic & Chromatin
巻: 11 ページ: -
https://doi.org/10.1186/s13072-018-0221-1