研究実績の概要 |
本研究は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系による鉱質コルチコイド受容体(MR)-pendrin系の活性制御機構を解明し、更にMR-pendrin系の生体内での役割を明らかにすることを目的として取り組んできた。 マウスへの低食塩食投与、また、副腎摘出マウスへのアンジオテンシンII(AngII)、アルドステロン(Aldo)投与を行い解析を行った。そしてAngIIにより脱リン酸化したMRに、Aldoが結合することではじめてpendrin発現が上昇すること、つまり、食塩欠乏時のpendrin活性化にはAngIIとAldoの両方が不可欠なことを明らかにした。次に、このMR-pendrin系の生体内意義を明らかにするため、pendrin欠損マウスを用いて血圧測定を行った。その結果、食塩欠乏によりRAA系の活性化した状態では、pendrinが血圧を正常に維持するために重要な役割をしていることが明らかとなり、ここまでの成果を論文発表した (Hirohama D, et al. Aldosterone is essential for angiotensin II-induced upregulation of pendrin. J Am Soc Nephrol 29: 57-68, 2018)。 また、MR-pendrin系の電解質代謝調節における役割を解明するため、pendrin欠損マウスを用いた解析も行った。Pendrin欠損マウスではAldo持続投与により低カリウム血症の増悪を認めることが明らかとなり、この成果を論文発表した (Xu N, Hirohama D, et al. Hypokalemia and pendrin induction by aldosterone. Hypertension 69: 855-862, 2017)。
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