研究課題/領域番号 |
17K16077
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 大栄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40759552)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | WNK4 / 3T3-L1 / 脂肪分化 / メタボリックシンドローム / C/EBPα / PPARγ |
研究実績の概要 |
1. 脂肪分化においてC/EBPαとPPARγ発現に対するWNK4の影響 3T3-L1培養細胞において、C/EBPαによるPPARγ2の発現を促進する方向に関与していることをsiRNAとChIP実験で明らかにした。脂肪分化を誘導するPPARγ2の発現促進しWNK4は脂肪分化を誘導する方向に働く。また脂肪細胞は分化刺激を受けたのちMitotic clonal expansion (MCE)という1-2回の細胞分裂を起こしたのちに、成熟脂肪細胞へ分化する。この過程でC/EBPαはプロモーター領域への結合能力を獲得するため、成熟脂肪細胞への分化には必須の過程であると考えられている。同じWNKファミリーであるWNK1やWNK3は細胞周期を制御することが報告されており、WNK4も脂肪細胞分化への細胞分裂制御に関わっていることが考えられた。BrdU染色を用いた免疫蛍光染色やCyclinの発現を検出することで明らかにしている。以上これまでの明らかにした知見をまとめて論文で報告している(EBioMedicine 18:118-127, 2017)。 2.WNK4ドメイン毎の脂肪分化への影響の検討 WNK4が脂肪分化を誘導する働きは従来のWNK4-SPAK/OSR1シグナルカスケードと独立した系であることが考えられ、それをWNK4の各ドメイン毎のフラグメントを発現する発現ベクターを用いて検証した。作成した発現蛋白はKinaseドメイン、Acidic motifを含んだWNK4フラグメント、WNK4のC-terminal、Kinase dead WNK4, wild-type WNK4を作成した。しかしwild-type WNK4の強制発現でも脂肪分化誘導効果は安定せず有効な実験系を組むことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WNK4の脂肪分化促進への影響は従来より明らかになっているシグナルカスケードとは独立して機能していることが示しており、Kinase independentな系が考えられた。それを検証するためWNK4のドメイン毎部分的に発現するベクターを作成し、3T3-L1細胞に強制発現させ脂肪分化にどのような影響を与えるか検証した。作成した発現蛋白はKinaseドメイン、Acidic motifを含んだWNK4フラグメント、WNK4のC-terminal、Kinase dead WNK4, Wild-type WNK4を作成した。しかしwild-type WNK4の強制発現でも脂肪分化誘導効果は安定せず有効な実験系を組むことができなかった。別のアプローチとしてWNK4と関連しているタンパク質を検索する方法に変更している。クロスリンカーを用いて脂肪分化誘導刺激を与えた3T3-L1細胞内でWNK4と関連する蛋白を固定し、プロテオミクスでWNK4関連蛋白を検索する方法(インタラクトーム)である。現在有望なクロスリンカーを決定し、WNK4関連蛋白のcomplexを形成させることができ、手技を確立すること成功している。
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今後の研究の推進方策 |
今後WNK4のインタラクトームを行い、WNK4と関連する蛋白を同定する。同定された蛋白を過去の文献と脂肪分化誘導をしていないNegative Controlとなる結果との比較などで検討し、3T3-L1培養細胞系で検証を進めていく予定である。またKinase dependentなシグナル系も同時に検討するため、CRISPR-Cas9ゲノム編集法を用いてWNK4ノックアウト3T3-L1培養細胞の作成にも成功しており、今後SILACラベル下で定量プロテオミクスを行いWNK4シグナル伝達系の解析も進めていく予定である。
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