研究課題
(1)mitoQC マウス(GFP-mCherry-Fis1のトランスジェニックマウス[Fis1はミトコンドリアの構成因子])を用いた腎近位尿細管におけるマイトファジーの検証本マウスはミトコンドリアがリソソームに取り込まれた時点で、酸性環境によりGFPの蛍光強度が消失し、mCherryの蛍光が残ることでマイトファジーの検出を可能にする(McWilliams TG, et al.J Cell Biol.)。既報の通り定常状態において成獣の近位尿細管でGFP陰性mCherry陽性のdotの蓄積を著明に認めておりマイトファジーが活発に起こっていることが示唆された一方で、電子顕微鏡での観察では定常状態ではほとんどマイトファジーを認めないという知見も得られ、結果に矛盾が生じている。mitoQC マウスで尿細管にmCherry陽性dotの蓄積を認めるのは、他臓器から排泄されたmCherryを尿細管が取り込んでいることによる可能性を考え、現在尿細管特異的にmCherry-GFP-MTS[MTSはミトコンドリアの構成因子]を発現するマウスを作製しており、検証していく方針としている。(2)虚血再灌流マウスの近位尿細管を用いたマイトファジー受容体の探索腎虚血再灌流後マウスを安楽死させ、コラゲナーゼ・ヒアルロニダーゼ処理し、ビオチン化LTAとビオチン結合磁気ビーズを用いて近位尿細管を可能な限り純化した。得られた細胞溶解液をLC-3 抗体で免疫沈降し、質量分析により解析中である(これまでに報告されているマイトファジーの受容体はほぼすべてLC3 に結合することからこの方法を用いている)。
3: やや遅れている
定常状態下においてmitoQC マウスでは尿細管で活発にマイトファジーが起こっていることが示唆された一方で、電子顕微鏡下での観察では定常状態でのマイトファジーはほとんど観察されなかった。上記の矛盾する結果に関して、mitoQCマウスがマイトファジーを正確に評価できているのかを究明する段階でやや手間取っている。
mitoQC マウスでは他臓器から排泄されたmCherryを尿細管が取り込むことによってmCherry陽性dotが尿細管に蓄積しているという可能性を除外するために、現在尿細管特異的にmCherry-GFP-MTSを発現するマウスを作製しており、検証していく方針としている。
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