研究課題/領域番号 |
17K16090
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
水本 輝彦 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80749193)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 慢性炎症 / 糸球体上皮細胞 |
研究実績の概要 |
腎障害の進展にERストレス、慢性炎症の関与が示唆され、慢性炎症において一端を担うのがMRP8である。MRP8はTLR4のリガンドとしての報告があるが我々の予備検討ではMRP8単独ではNFκBを活性化させず、IRFを活性化させ炎症シグナルを増強している可能性を見出した。 まずはすでに入手済みのTLR4阻害薬を投与し、TLR4とMRP8の関連を検討した。LPSとMRP8を同時に投与するとLPS単独ではTLR4阻害薬投与でシグナルが遮断されるがLPSとMRP8の同時投与では炎症性サイトカインのmRNAがMRP8の濃度依存性に上昇した。これは上記の我々のIRFを活性化させ炎症シグナルを増強しているという可能性を示唆するものであった。 MRP8は腎組織において主に糸球体に発現しているため、MRP8-IRF3の更なるシグナルを検討するために、糸球体上皮細胞にMRP8を投与し、そのNFκBシグナル系やIRFなどのシグナルを検討した。入手済みであったマウス糸球体上皮細胞であるMPC-5にMRP8を投与した。一部の炎症性サイトカインのmRNAの発現量をMRP8の濃度依存的に増加させた。現在のところ再現性の確認を行い、LPSとMRP8との同時投与によるIRF3との関連、そのシグナルの検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度はIn vitroの系で糸球体上皮細胞、メサンギウム細胞に対するMRP8のIRF3活性化の経路の探索を終える予定であった。TLR4阻害薬を投与し、MRP8のTLR4の通常の非依存的な経路の存在の可能性は示すことができた。しかし、糸球体上皮細胞に対するMRP8の反応性については検討を始めているが、その経路については十分に解析ができていないため、やや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はIn vivoの実験を行う予定でMRP8骨髄ノックアウトマウスをSTZ投与による糖尿病性腎症マウスにおけるMRP8-IRF3の検討、また、STZ投与による糖尿病性腎症モデルマウスにシグナル阻害薬投与による実験を検討していた。現在の段階でMRP8-IRF3の経路の十分な解析はできておらず、その解析を継続し、並行してMRP8骨髄OKマウスに糖尿病および/あるいは肥満を誘導し、腎障害に対する意義の検討を行う。糸球体上皮細胞でシグナル解析に続いて、In vivoにおけるそのシグナルの重要性、阻害薬による実験を行う予定である。
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