研究課題
腎障害の進展にERストレス、慢性炎症の関与が示唆され、慢性炎症において一端を担うのがMRP8である。MRP8はTLR4のリガンドとしての報告があるが我々の予備検討ではMRP8単独ではNFκBを活性化させず、IRFを活性化させ炎症シグナルを増強していた。そこで平成29年はTLR4阻害薬を用いた研究でMRP8はIRFを活性化させ炎症シグナルを増強している可能性を見出した。次にin vitroの系でマウス糸球体上皮細胞であるMPC-5にMRP8を投与した。一部の炎症性サイトカインのmRNAの発現量をMRP8の濃度依存的に増加させた。平成30年ではそこの再現性を確認し、MRP8-IRFの活性化について検討したが結果がIRFの活性化についてはっきりさせることができなかった。我々の予備検討では培養メサンギウム細胞の上清のエクソソームをマクロファージに投与すると炎症性サイトカインの増加を認め、また、TLR4阻害薬でその増加を抑制することができた。そこでエクソソームを介した慢性炎症を阻害する薬物を同定するため、創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)に応募、研究計画が承認され、東京大学創薬機構より提供を受けた既存薬ライブラリの化合物スクリーニングを開始している。3300化合物の中から1次スクリーニングで421化合物へと絞ることができている。今後、更なるスクリーニングを進め、化合物を同定し、in vivoの系で糖尿病性腎症モデルのマウスでの効果を実証する予定である。
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Am J Physiol Renal Physiol.
巻: 315 ページ: 1347-1357
10.1152/ajprenal.00648.2017.