Cre-loxPシステムを用いて近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスを作製し,2週間のアンジオテンシンII投与による高血圧および腎障害の発症・進展を検討した.作製したマウスの近位尿細管におけるATRAP mRNA発現量は,野生型マウスの2割程度に減少していた.一方,アンジオテンシンIIの慢性投与下における近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスの血圧上昇,尿中Na排泄量,腎障害の程度は野生型マウスと有意差を認めなかった.以上の結果より,近位尿細管におけるATRAPがアンジオテンシンII依存性高血圧・腎障害の病態に及ぼす影響は少ないと考えられた.
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