進行した二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)患者に副甲状腺摘出術(PTX)が適用される際に、副甲状腺の周辺組織への癒着や埋没により腺の視認が困難となる場合が多々あり、手術時間の延長や、腺の一部取り残しなどの原因になっている。この問題解決のため、腫瘍親和性光感受性物質プロトポルフィリンⅨの前駆物質である5-アミノレブリン酸(5-ALA)を術前に投与して過形成副甲状腺を特異的に蛍光ラベルする手法が開発されている。私は、いろいろな腫瘍の光線力学的治療(PDT)手法を参考にして、過形成副甲状腺に対するPDT手法をモデル動物を用いて開発してきた。本研究では、将来的にヒトへの応用が可能な、より効率的なPDT手法の開発を目的に以下の研究を行った。 (1) 5/6亜腎摘ラットを用いた高効率PDTの手法の開発:5-ALAの高用量投与下かつ高熱量照射による生存率の低下をカルシウム静注により抑制して、PDTの成功率を上げる手法を開発し、照射直後のカルシウム投与により高用量高熱量照射後の低カルシウム血症による生存率の低下を75%にまで上げる事が可能となった。 (2) 照射副甲状腺の再生抑制手法の開発:PDT処置後の副甲状腺の再生を抑制するために、照射された副甲状腺における血管形成を阻害する実験を行った。低用量5-ALAと低熱量光照射による5/6亜腎摘ラットに負担の少ない条件でのPDTを行った後に、ラットでの血管新生阻害効果を持つことの知られているCaptoprilを継続投与し、照射副甲状腺における有意な血管新生阻害効果を確認した。 (3) PDTの実用化の検討:臨床応用への課題検討のために中型動物を用いたPDTを実施する目的で腎不全ヤギを作製し、副甲状腺機能亢進症の進行を確認し、効果的なPDT手法の開発を試みた。
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