研究課題/領域番号 |
17K16100
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小泉 賢洋 東海大学, 医学部, 助教 (30566170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 糸球体硬化症 / I型コラーゲン / 質量分析 |
研究実績の概要 |
線維化組織で蓄積するⅠ型コラーゲンは,通常2本のα1(I)鎖と1本のα2(I)鎖から成るheterotrimerである.申請者等は,高率に再現性よく糸球体硬化症の誘導が可能なマウスモデルで検討し,硬化糸球体ではα1(I)鎖mRNAが増加しα2(I)鎖mRNAが減少することを見出した.本申請の研究では,糸球体研究では活用されてこなかった質量分析法を用いてⅠ型コラーゲンを解析し,糸球体硬化症ではα1(I)2α2(I) heterotrimerからα1(I)3 homotrimerへと変容するという仮説の検証を行う.従来見逃されていたこの概念の証明は,MMPで分解されないコラーゲンの蓄積を伴う糸球体硬化症が,糸球体外(腎尿細管間質)や他臓器の線維化と全く異なったメカニズムで発症することを示し,糸球体硬化症の根本的治療法の開発に繋がることが期待される. H29年度は,①質量分析計を用いたI型コラーゲン測定系の構築と②正常糸球体と傷害糸球体におけるα1とα2鎖の定量を行う予定であった.現在進行は遅れており,①においてα1,2鎖由来のペプチドを選定ののち,その合成ペプチドを入手し定量性について検討している.また,②において硬化糸球体を選択的に採取することを試みているが,当初予定していた磁気ビーズを潅流させる方法では,硬化の進行に伴い糸球体へのビーズの潅流が困難であった.そこで,凍結切片をトルイジンブルーにて染色ののちに,レーザーキャプチャー法にて切り抜くことを試みている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
硬化糸球体の採取の段階で,当初磁気ビーズを潅流させる方法を用いたが,硬化の進行に伴い糸球体への潅流が困難であり選択的に採取することが出来なかった.現在,レーザーキャプチャー法による採取を試みている.
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今後の研究の推進方策 |
上記の硬化糸球体の選択的採取に関する問題をレーザーキャプチャー法を用いて解決し,そこからI型コラーゲンを抽出し定量することを予定している.硬化糸球体ではα2鎖に比べて不均等にα1鎖が増加し,α1鎖/α2鎖比が増大すると予想している.
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次年度使用額が生じた理由 |
硬化糸球体の採取に難航し,本年度に予定していた実験計画が予定通り進行しなかった為.この硬化糸球体採取の問題を解決し,予定通り実験を進め予算を使用する予定である.
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