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2017 年度 実施状況報告書

ポリコームグループタンパク質に着目した急性腎障害治療の可能性

研究課題

研究課題/領域番号 17K16103
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

市川 大介  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70750157)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード腎臓内科 / 腎臓 / 急性腎障害 / 腎保護作用
研究実績の概要

高齢者の増加、医療技術の進歩により、医原性の急性腎障害(AKI)の発症頻度が、世界的に増加している。しかし、AKIの治療法は、十分に確立していない。腎臓は、一度虚血刺激を受けると、虚血耐性を獲得し、2度目の虚血に対し抵抗性を示す。本研究では、腎臓が虚血耐性を獲得する機序に、エピジェネティックメディエーターとしてのポリコームグループタンパク質(PRC1構成蛋白 Bmi1およびSCMH1)が重要であることを明らかにするため、平成29年度は、in vivoの系で、Bmi1およびSCMH1の発現を検討した。
C57/B6オスマウスを使用し、2回の腎虚血再灌流モデル(1回目虚血再灌流後、21日間後に2回目の虚血再灌流を行う)を作成し、虚血耐性の確認とBmi1およびSCMH1の発現をreal time PCRで確認した。マウスは、1回目の虚血1日後の腎と比較し、2回目の虚血1日後の腎では、有意に急性腎障害の指標であるアポトーシス関連蛋白や腎線維化関連蛋白の発現が低下しており、腎機能障害の程度も2回目虚血のほうが、有意に弱かった。腎臓におけるBmi1およびSCMH1の遺伝子発現は、1回目虚血1日後では、発現に変化を認めなかったが、1回目虚血20日後で有意に増加し、2回目虚血後も高値のまま維持された。さらに、1匹のマウスではあるが、1回目の虚血20日後の腎を使用し、Chip-qPCRを行い、Bmi1およびSCMH1の転写調節にヒストンアセチル化(H314Ac)が関与していることを確認した。Bmi1は、腎保護的に作用することが報告されていることから、SCMH1にも腎保護作用がある可能性がある。平成30年度は、近位尿細管細胞を使用し、Bmi1およびSCMH1の腎保護作用を確認する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々が着目したBmi1およびSCMH1が、虚血耐性を獲得してい腎臓で発現が増加している事、さらにその発現調節にヒストンアセチル化が関与していることを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

ヒト近位尿細管細胞(HK-2)とその培地、低酸素濃度培養用CO2インキュベーターを購入し、in vitroの系におて、細胞が虚血耐性を獲得することを確認し、SCMH1およびBmi1の発現動態を検討する。
①HK-2細胞を、低酸素濃度培養用CO2インキュベーター (1%O2, 5%CO2)に6, 16時間入れる。
②その後、低酸素インキュベーターより出し、24時間通常の培養を行う。
③再度、低酸素濃度培養用CO2インキュベーター (1%O2, 5%CO2)に6, 16時間入れる。
細胞が虚血耐性を獲得することを確認するため、1回の低酸素刺激後の細胞と2回の低酸素刺激後の細胞において、細胞障害の程度をLDH測定、MTTアッセイで評価する。また、細胞から遺伝子・蛋白を抽出し、アポトーシス関連分子(Bcl-2, Bcl-xL, Bax, Bad)の発現をreal time PCR、ウエスタンブロット法で検討する。SCMH1およびBmi1の発現動態を検討するため、細胞から抽出された遺伝子・蛋白でreal time PCR、ウエスタンブロット法を行う。さらに、SCMH1およびBmi1が、腎虚血耐性獲得に重要であることを明らかにするため、SCMH1およびBmi1に対してのsiRNAを作成し、SCMH1およびBmi1の発現を抑制した状態における細胞障害の程度やアポトーシス関連分子の動態を検討する。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度内に使用しているが、学内の会計処理が間に合わなかったため、次年度支払いとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Utility of urinary tubular markers for monitoring chronic tubulointerstitial injury after ischemia-reperfusion2018

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa Daisuke、Kamijo-Ikemori Atsuko、Sugaya Takeshi、Ohata Keiichi、Hisamichi Mikako、Hoshino Seiko、Kimura Kenjiro、Shibagaki Yugo
    • 雑誌名

      Nephrology

      巻: 23 ページ: 308~316

    • DOI

      10.1111/nep.12998

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 急性腎障害後のnephron lossを鋭敏に反映するバイオマーカーの探索2017

    • 著者名/発表者名
      市川大介
    • 学会等名
      第60回日本腎臓学会学術総会

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公開日: 2021-03-11  

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