高齢者の増加、医療技術の進歩により、医原性の急性腎障害(AKI)の発症頻度が増加している。しかし、AKIの治療法は、十分に確立していない。そこで、AKIの主要な病態である腎低酸素におけるポリコームグループタンパク質(PRC1構成蛋白 Bmi1およびSCMH1)の細胞保護作用の有無をヒト近位尿細管細胞(HK2細胞)を使用し検討した。その結果、低酸素下で、細胞障害マーカーであるLDHが、SCMH1の発現を抑制した場合にのみ有意に増加し、細胞生存率は、SCMH1発現の抑制により有意に生存率が低下した。近位尿細管におけるSCMH1発現は、腎低酸素に対して障害抵抗性に作用している可能性がある。
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