研究課題/領域番号 |
17K16105
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
城所 研吾 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50435020)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糸球体内皮-上皮連関 / 血漿中ATPレベル / 内皮アポトーシス |
研究実績の概要 |
糖尿病性腎症における糸球体上皮細胞障害の進展、内皮障害との相互連関(内皮-上皮連関)、および上皮細胞障害機序における上皮P2Y2受容体・Ca2+流入増大の関与とその分子機序を解明し、新規治療法構築に資することが本研究の目的である。平成29年度は以下の項目を検討した。 1)高血糖刺激により内皮細胞よりATP放出が増大することとその機序の解明 ヒト糸球体内皮細胞(hGEC)を用いて高血糖負荷(Control; 5mM, High glucose;30mM)状態下で、NOS阻害薬(L-NAME;1mM,5mM)添加群、非添加群におけるATP放出の変化を解析した。またアポトーシス刺激によるATP放出の変化の解析も行った。L-NAMEはより強力な内皮機能障害を想定し使用した。TNF-αやアポトーシス誘導薬アクチノマイシンDの添加により、上清中のATPは有意に増加を認めた。高血糖、L-NAME下における内皮細胞ATP産生、放出について、現在再現性の確認を行っていると同時に、ATP放出機序の解明について取り組んでいる。 2)内皮由来ATPがP2Y2受容体活性化を介して、糸球体上皮細胞内Ca2+流入・濃度上昇、ついには上皮障害に関与することをin vivo imaging技術を活用して生体内で証明する。 In vivo実験として、糖尿病マウスにおける血漿中ATP濃度、および組織障害度の評価を、STZ誘導糖尿病マウス、さらには内皮障害を有する進行性糖尿病モデルマウスであるeNOS-KO/STZマウスを使用し行っている。糸球体上皮細胞のCa2+流入の評価のため、Podocine-Creマウスと、Ca2+感受性蛍光タンパクであるGCaMPのfloxマウス(GCaMP5)を交配させており、今後このマウスにSTZを使用し糖尿病を誘発させ実験を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糸球体上皮細胞のCa2+流入の評価のため、Podocine-Creマウスと、Ca2+感受性蛍光タンパクであるGCaMPのfloxマウス(GCaMP5)の入手が遅れたため、in vivoでの糸球体上皮細胞カルシウム動態の評価は出来ていない。現在交配中であり、安定供給可能な状態でImagingにて評価を開始する予定である。また今後Podocin-Cre/GCaMP5マウスとeNOS-KOマウスとの交配も予定している。
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今後の研究の推進方策 |
In vitro実験の再現性を継続して確認していく。内皮のアポトーシスによるATP放出増加は再現性が得られているが、高糖濃度下でL-NAMEを使用した際のデータの安定が得られていない。NOシグナル抑制のため代替手段として、今後はPKGインヒビターなどの使用を予定している。 In vivoの実験方針は変わらず、Imagingに使用できるマウスの安定供給を目指し交配中である。STZ糖尿病マウス、eNOS-KO/STZマ進行性糖尿病マウスを使用したデータ解析は現在進行中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス購入・作成に時間がかかり、実験進行計画より遅れている状況である。予定されていた学会・研究会へ参加できなかったため旅費が予定より少なくなった。次年度の情報収集や発表での学会参加旅費で使用予定である。
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