糖尿病性腎臓病(DKD)の糸球体障害進展過程において、血管内皮由来ATPが糸球体上皮細胞におけるCa2+流入を誘導し、上皮障害を促進するとの仮説を立てこれを検証した。内皮障害糖尿病(eNOS-KO/STZ)マウスでは血漿中ATP濃度は有意な上昇を認めており、尿中アルブミン排泄量も著明な増加を認めた。同時に糸球体上皮細胞内のCa2+濃度が増大していることが、上皮細胞特異的Ca2+感受性蛍光蛋白質発現マウスを用いた検討で示された。DKDにおける上皮細胞障害の障害進行には細胞内Ca2+濃度の増大が関与しており、内皮障害により増強されることが示唆された。
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