研究実績の概要 |
ALD 75家系86症例[大脳型48例(小児大脳型ALD 14例,思春期大脳型ALD 6例,成人大脳型ALD 11例,AMNから大脳型への移行例 15例,小脳脳幹型から大脳型への移行例2例),小脳脳幹型 3例,AMN 30例,Addison病 2例,未発症3例)]においてexome解析を実施し、データの解析を行っている。シークエンス後、Burrows-Wheeler Aligner (BWA)でマッピング、samtoolsでvariantsのコールを行うことでデータを得た。 Controlとして、当研究室で集積されている800例の日本人controlのexome データベースも利用し比較することで、ALDの病態を修飾する因子を同定することを検討している。ALDの原因遺伝子ABCD1以外の遺伝子異常に基づくペルオキシソームの機能障害が、ALDの病態を修飾する可能性が示唆されることからペルオキシソームで機能するおよそ100の遺伝子群を解析対象の遺伝子群として設定した解析を行っている。 さらに、これまで集積したALD症例の原因遺伝子ABCD1変異、表現型に加え、発症年齢、DNA抽出時の年齢、家族歴等を集積することで、多面的な解析ができるように臨床データの集積も併せて行っている。ABCD1遺伝子変異は、ミスセンス変異、4プライスサイト変異、8失変異、5入変異、1入欠失変異に加え、複雑な変異[大規模な重複変異、大規模な挿入欠失変異]を同定し、15が新規変異であった。機能喪失型変異は大脳型だけでなく、非大脳型症例にも認めた。
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今後の研究の推進方策 |
Exome解析では多数のvariantsが検出されていることから、現在の解析規模で遺伝統計学的な検出力を確保するためには、解析対象のvariantsの数を絞り込み、仮説空間を小さくすることが必要となる。そのために検出されたvariantsの中から,①:既知の病因遺伝子変異,②:フレームシフト変異,スプライスサイト変異,ナンセンス変異,③:dbSNPに登録のない変異の中で,複数の機能予測アルゴリズムで機能障害性が示唆されるvariantsを抽出を行い、表現型毎の比較を検討している。
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