研究実績の概要 |
ALD 108症例[大脳型58例(小児大脳型ALD 17例,思春期大脳型ALD 7例,成人大脳型ALD 12例,AMNから大脳型への移行例 20例,小脳脳幹型から大脳型への移行例2例),小脳脳幹型 8例,AMN 36例,Addison病 4例,未発症2例)]においてexome解析を実施し、データの解析を行った。シークエンス後、Burrows-Wheeler Aligner (BWA)でマッピング、samtoolsでvariantsのコールを行うことでデータを得た。 Controlとして、当研究室で集積されている800例の日本人controlのexome データベースも利用し比較することで、ALDの病態を修飾する因子を同定することを検討した。ALDの原因遺伝子ABCD1以外の遺伝子異常に基づくペルオキシソームの機能障害が、ALDの病態を修飾する可能性が示唆されることからペルオキシソームで機能するおよそ100の遺伝子群を解析対象の遺伝子群として設定した解析を行った。個々の遺伝子においては表現型において明らかに有意差のあるvariantは認めなかった。 さらに、これまで集積したALD症例の原因遺伝子ABCD1変異、表現型に加え、発症年齢、DNA抽出時の年齢、家族歴等を集積することで、多面的な解析ができるように臨床データの集積も併せて行った。ABCD1遺伝子変異は、ミスセンス変異、スプライスサイト変異、欠失変異、挿入変異、挿入欠失変異に加え、複雑な変異[大規模な重複変異、大規模な挿入欠失変異]を同定し、16が新規変異であった。機能喪失型変異は大脳型だけでなく、非大脳型症例にも認めた。
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