アルツハイマー病における神経細胞特異的DNAメチル化解析から、アルツハイマー病においてDNA傷害が蓄積していること、さらにはBRCA1がそれに対して防御的に働いているが、タウとともに共凝集し機能喪失することで、このような防御機構が破綻していることが明らかになった。このような結果に基づき、アルツハイマー病の神経細胞におけるDNA傷害をモデル化し、DNA傷害および修復に関与する機序を明らかにすることを目的として、研究を進めた。 アルツハイマー病のモデル化については、変異型アミロイド前駆タンパクを安定発現する神経前駆細胞を作成し、新たな培養系を確立した。本モデルでは、変異型アミロイド前駆タンパクを安定港発現しており、また同時に変異型プレセニリン1も安定発現するよう設計したモデルを作成し、同様の培養系を用いてモデル化することができた。 DNA傷害については、神経前駆細胞を神経細胞に分化誘導し、NMDA刺激を行うことによってDNA傷害を誘導しえた。また、DNA傷害レベルの定量については、FACSを利用したハイスループット定量系を開発することができた。 また、DNA傷害のゲノムワイド解析を目的として、DNA傷害マーカー、およびDNA修復タンパク質について、クロマチン免疫沈降法を用いてIllumina TruSeqフォーマットのライブラリを作成した。細胞条件、抗体条件の検討・最適化を行い、同タンパク質のゲノム上への結合領域を解析した。
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