研究課題/領域番号 |
17K16114
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長島 優 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (20635586)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / バイオマーカー / フォトニック結晶 |
研究実績の概要 |
本研究では、ナノインプリントリソグラフィー(Nanoimprint lithography: NIL)を用いて作製したポリマー製フォトニック結晶(Photonic crystal: PhC)が、抗原抗体反応に起因する屈折率変化によって光学特性が変化することを利用し、安価・簡便・高感度にAD バイオマーカー分子検出が可能な実用的なバイオセンサーを実現することを目的としている。今年度はまず、尿素ゲルWestern blot法を用いたAβ42の定量法を確立し、100fM~1μMの範囲で測定値のlinearityを確認した。次に、フォトニック結晶を用いた高感度Aβセンサーの読み取り装置を、LED光源と分光器を用いて新たに作成した。この読み取り装置を用いて、センサー基板の500nmの反射光強度を試料アプライ前後で測定し、その比の値を計算することで、試料中のAβ濃度に線形に比例する測定値を得た。次に、このセンサー基板と読み取り装置を用いて、Aβ42の検量線を描き、10fM~1μM程度まで、センサー測定値のlinearityを確認した。また、AD患者および健常者10例ずつの髄液・血液検体を用いて、検体中のAβ濃度の測定を行う臨床研究を開始した。現在、ELISA法を用いて、患者の髄液検体中のAβ42の定量を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサー基板と読み取り装置を作成し、ADバイオマーカーの測定系の立ち上げを予定通り進めている。また患者検体を用いた臨床研究も予定通り開始し、実患者検体のバイオマーカー測定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
尿素ゲルWestern blot法と蛍光マイクロビーズによるマルチプレックスサスペンションアレイ解析(xMAP, Multiplex Luminex Assay)を用いたAβの測定法の立ち上げを行う。ELISA法にこれらの方法を加えた複数の方法で、患者髄液および血液中のAβ測定を順次行っていく。さらに開発したセンサーで同じ患者検体の測定を行い、測定値を比較することで、本センサーの性能を確認し、血液でのAD診断が行えるかどうかを確認する。
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