研究課題/領域番号 |
17K16117
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原 一洋 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80748369)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / MRI / 安静時脳機能画像 |
研究実績の概要 |
目的:多系統萎縮症では認知機能低下を認めうることが既に報告されている。しかしながらその原因については詳細には分かっていない。そこで今回我々は多系統萎縮症(MSA)で引き起こされる小脳萎縮と安静時脳機能ネットワークの関連を検討した。 方法:2013年4月から2018年3月までの連続MSA患者40例中、頭部MRIで脳梗塞や脳腫瘍などの存在例や進行して認知機能評価が施行不可能な例10例を除外し30例を検討した。診断基準はGilmanらの報告を参考に全てprobable症例とした。平均年齢は63.5 ± 7.5歳。男性18例で女性12例。使用した正常30例については名古屋大学脳とこころの研究センターの1000人コホート研究に参加して頂いている症例で年齢と性別を考慮しマッチさせた30例(平均年齢は63.6 ± 6.2歳、男性18例で女性12例)を抽出した。この研究は名古屋大学医学部生命倫理審査委員会の承認を得て全ての被検者に同意を得た。全てのMSA患者は臨床評価スコアであるthe Unified MSA-Rating scale(UMSARS)と認知機能評価スコアであるAddenbrooke's Cognitive Examination-Revised(ACE-R)が実施された。また同時に3TのMRIで脳容積解析であるVoxel-based morphometry(VBM)と機能的ネットワ-ク解析であるResting-state fMRI(rs fMRI)が撮影された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多系統萎縮症の症例に対して機能的ネットワ-クの予備的解析を実施した。結果は脳容積解析で多系統萎縮症の全例で大脳萎縮は認めず小脳萎縮を認めた。次に安静時機能的MRIの解析であるIndependent component analysis(ICA)を行うと7つのネットワーク:小脳を含んだright and left executive control networks、language network、大脳を含んだprimary visual network、salience network、sensorimotor networkで異常を認めた。小脳の異常な機能的なネットワークは小脳の萎縮と関連していた。そこでSeed based analysisを行うと左のexecutive control networkで異常のあったcerebellar lobules VII と上前頭葉との機能的ネットワークがACE-Rと関連していた。以上から機能的ネットワークの異常があることがわかり解剖学的ネットワークの解明を次年度では行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の予備的解析で小脳萎縮が多系統萎縮症の認知機能において機能的ネットワークに影響を与えていることが示唆された。今後はNeurite orientation dispersion and density imaging (NODDI)と呼ばれる非正規分布拡散画像の後処理の手法を用いて解剖学的ネットワ-クを解明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由 本年度購入予定のディスプレイを研究協力者より譲り受けた。 使用計画 研究の進捗を早めるため、研究補助者の人件費に充当する。
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