研究課題/領域番号 |
17K16126
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中垣 岳大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80722917)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クロイツフェルトヤコブ病 / FK506 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
ヒトプリオンタンパク発現マウス(KiChMマウス)に孤発性クロイツフェルトヤコブ病由来のプリオン株を頭蓋内接種した。感染マウスの発症前(感染77日後)に2匹、発症後(感染108日後)に3匹にヒト不死化骨髄間葉細胞(MSC)を投与した。 ヒト不死化MSCはあらかじめ培養しておき、投与時に細胞をトリプシンで回収、PBSで洗浄後、PBSで1,000,000個/100μLに懸濁したものを100μLずつ尾静脈から投与した。対照群(4匹)にはPBSを同様に投与している。なお、各マウスへの投与は一回のみである。 その結果対照群では平均生存期間が125.4±19.5日であった。発症前投与群は135±33日、発症後投与群は141.3±13.3日であった。発症前、発症後投与群に生存期間の差はほとんど認められなかった。またマウスの匹数が少ないため有意な差は認められないものの、発症後投与群は対照群と比較しておよそ15日間の生存期間の延長が認められた。
続いてマウスの匹数を増やしてFK506と細胞投与の併用療法の実験を同様に試みた。プリオン感染マウスを対照群、MSC群、FK506群、併用群の4群(各群10匹)にわけて実験を行ったが、前回と異なり静脈穿刺が難しく、投与に手間取った。そのため最初に投与したマウスと最後に投与したマウスでおよそ3時間の間隔があいてしまった。本実験はMSCが静脈内にきちんと入っていること、MSCが投与時に生きてるということが考え難かったため、中止した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
比較的早期の発症後であれば骨髄間葉系細胞の投与は、ヒトプリオン感染マウスに対しても有効である可能性が示された。おおむね期待していた通りの結果が得られている。しかし、FK506との併用実験では静脈穿刺がうまく出来なかった。このため、手技を安定させる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
静脈穿刺の手技を安定して行えるようにした後、再度、FK506とMSC投与の併用療法をヒトプリオン感染マウスに試みる。マウスの行動実験や症状の進展も評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験が手技の問題で中断したため、物品の消費量が予定よりかなり少なくなった。次年度に再実験を予定しているが、次年度使用額はこれに用いる予定である。
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