研究課題/領域番号 |
17K16133
|
研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
竹田 育子 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 特別協力研究員 (30746300)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | アストロサイト / DREADD system / アミロイドβ |
研究実績の概要 |
本年度はDREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)システムのアストロサイトへの影響について検討した.DREADDシステムの中でGq-DREADD(GFAP-hM3D)を用いて,選択的にアストロサイトのタンパク質共役受容体のシグナル伝達カスケードを刺激し,アストロサイトの細胞内へカルシウムを放出させた.細胞内のカルシウム濃度の上昇はアストロサイトの活性化につながると考えられている.まず,カルシウムイメージングをするため,GFAPプロモーター下にCaインジケーターであるGCaMP6fを組み込んだプラスミドを作成した.そのプラスミドからアデノ随伴ウイルスを作成することに成功した.そのアデノ随伴ウイルスをマウスの脳内に投与し,アストロサイトのCa濃度上昇を確認することができた.この作成したアデノ随伴ウイルスとAAV-GFAP-hM3D-mCherryを同時に投与し,アストロサイトのCa濃度の変化を検討した.CNO (clozapine-n-oxide)投与2-15分後よりアストロサイトの細胞内のCa上昇を確認した.その後6-8時間持続するCNOの効果を確認した. また,前頭前皮質を観察するため,大脳縦裂に沿ってプリズムを挿入し,神経細胞を観察することを試みた.マウスにより静脈洞の位置が異なるため,挿入できるマウスは限られるが,観察自体は可能であった.今後は慢性的に二光子顕微鏡にて観察するため,技術を確立させていく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アデノ随伴ウイルスの精製法の確立に時間がかかってしまったため,タウオパチーの疾患モデルマウスの作成が滞っている.また,プリズム挿入後の二光子顕微鏡での長期イメージングの確立が遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
ウイルスの作成を早急に行い,そのウイルスをマウスに投与することで、中枢神経系におけるアミロイドβもしくはAPP過剰産生モデルマウスを作成する予定である. プリズムによる長期イメージングが困難であることが予想され,まずは通常のカバーガラスでの撮影にてアストロサイト活性化によるアミロイドβへの作用を確認していく予定に変更する.
|