研究課題/領域番号 |
17K16134
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 マリ 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主任研究員 (20455405)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / レビー小体型認知症 / αシヌクレイン / 脂質 / ショウジョウバエ |
研究実績の概要 |
孤発性パーキンソン病(PD)およびレビー小体型認知症の(DLB)発症において、通常無害である野生型αシヌクレイン(αSyn)がプリオン様の性質を獲得すること(プリオノイド化)が重要であると考えられる。しかし、どのような要因でプリオノイド化が起きるのか、また一次構造の等しいαSynがどのような機序により多様な病態を引き起こすのかは明らかにされていない。本研究では、ライソソーム病で蓄積する脂質がαSynプリオノイド化に及ぼす影響を明らかにし、さらにそれぞれの脂質により誘導されたプリオノイド化αSynの性質を詳細に比較して異なる“株”であるかを検討する。そのため、1)ヒト野生型αSyn発現ショウジョウバエ脳内において様々な脂質代謝酵素遺伝子の過剰発現・ノックダウンにより脂質代謝を変化させ、行動学的・病理学的・生化学的解析を行うことで、生体内で異なるαSyn株が生成されるかを明らかにする。また、2)ショウジョウバエ由来のプリオノイド化αSynを精製し、生化学的解析および培養細胞を用いた解析を行うことで、ショウジョウバエモデルで認められたαSyn株の性質の違いが生じるメカニズムを明らかにする。今年度は1)に関して、ライソソーム病原因遺伝子Xの過剰発現ショウジョウバエを樹立し、野生型および疾患関連変異型Xの過剰発現がαSyn発現ショウジョウバエの運動機能に及ぼす影響を検討した。その結果、Xの過剰発現によりαSynハエの運動機能が改善することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子X過剰発現ショウジョウバエの表現型への影響を調べる際に実験上の問題が生じ再実験を要したため、候補となる脂質代謝酵素遺伝子発現の運動機能に対する影響は明らかとなったが、プリオノイド化αSyn株の産生・性状に関する検討が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に明らかとなった問題点を踏まえて他の遺伝子の影響を検討し、計画通り実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りに使用したが、残額が発生したため次年度の試薬購入に充てる。
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