研究課題/領域番号 |
17K16139
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
松居 翔 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (80739673)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | SIRT1 / Oxytocin / FGF21 / Carbohydrate / Preference |
研究実績の概要 |
食餌療法は、過食による生活習慣病の有効な治療法であるが、患者コンプライアンスの低さが問題である。その原因の一つに食嗜好がある。生活習慣病の元凶となる、糖や脂質への嗜好性の機序解明をとおし、患者の尊守できる肥満是正の新たな治療戦略が必要である。長寿遺伝子SIRT1は、カロリー制限という食餌療法の健康長寿効果を担う分子の一つである。これまでに当研究室では、恒常的摂食調節機構におけるSIRT1の役割を解明してきた。他方、食嗜好における役割は未解明である。そこで本研究では、SIRT1による食嗜好制御に着目し、中枢性のSIRT1によるショ糖嗜好性の制御機構を検討した。 これまでに視床下部室傍核で合成されたOXTは、HSD嗜好性を抑制することが報告されている。また、HSD摂取時に肝臓から分泌されたFGF21は、受容体が存在する視床下部室傍核に作用しHSD摂取を抑制することも報告されている。本研究では以下の点を明らかにした。(1)SIRT1は、視床下部でOxt発現を促進し、OXTRを介してHSD嗜好性を抑制する。(2)SIRT1は、Oxtプロモーターの-2.4kb~-2.1kbの新規制御領域を介してOxtの発現を促進する。(3)FGF21は、Oxtの発現を促進する。(4)SIRT1は、FGF21受容体を構成するβ-Klothoの発現を促進する。(5)SIRT1のOxt発現増加作用には、NRF2が必要である。以上より、SIRT1はFGF21-NRF2-OXTシグナルを介して、ショ糖嗜好性を抑制する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに実験が進み、データが得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
SIRT1によるショ糖嗜好性制御機構に関わる脳内神経回路を明らかにしていく。
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