これまでS1Pと肥満およびメタボリックシンドロームについては,脂肪組織や肝臓を標的として脂肪の蓄積や組織の炎症とS1Pとを関連付けした研究が主であった.本研究で得られた研究成果はS1Pがエネルギー消費に直接的,あるいは間接的に関わっていることを示唆しており,この発見はS1P研究に新たな展開をもたらすものである.また,エネルギー消費機構に関与するS1Pシグナル伝達系を標的とした薬物は,新規な肥満症治療薬 (エネルギー消費促進薬) として利用でき,加えて現存の肥満症治療薬 (エネルギー摂取抑制薬) と併用して使用することでより効果の高い肥満治療法の開発にも繋がるものと考える.
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