研究課題/領域番号 |
17K16159
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
ベ チョロン 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (80760793)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CNP / 血管内皮細胞 / 肥満 / 脂肪細胞 / エネルギー消費 / インスリン抵抗性 / 抗炎症 / 褐色脂肪 |
研究実績の概要 |
脂肪細胞や血管内皮細胞由来のC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の肥満における新しい役割とそのメカニズムを解明する。我々の先行研究で高脂肪食で肥満を誘導すると、CNPとその受容体であるGCB発現量の増加を見出し、また、CNPは3T3-L1細胞(株化脂肪細胞)に結合し、cGMP/VASPのシグナルを活性化して作用することを示した。一方、CNPは、血管内皮細胞で産生され、血管内皮機能保護作用を有している。これらの知見から、肥満病態において、CNPが脂肪細胞や血管内皮細胞において作用することを予想した。そこで、adiponectinプロモーターにより脂肪細胞特異的にCNPを過剰発現するマウス(A-CNP-Tg)とtie2プロモーターにより血管内皮細胞特異的にCNPを過剰発現するマウス(E-CNP-Tg)を作製し、高脂肪食誘導性肥満病態モデルにおけるCNPの効果を検討した。 A-CNP-Tgは野生型と比較して、体重の変化はなかったが、脂肪組織(内蔵脂肪および皮下脂肪)の重量が減少し、肥満による炎症、インスリン抵抗性の改善、また、褐色脂肪が活性化されエネルギー代謝が亢進した。また、近年、肥満における脂肪細胞からのアディポカインやマクロファージからのサイトカインが血管機能に影響することが報告されている。そこで、E-CNP-Tgマウスを用い、 A-CNP-Tgと同様、高脂肪食性肥満におけるE-CNP-Tgの作用を検討した。その結果、予想通りA-CNP-Tgと同様の抗肥満効果(脂肪細胞の肥大化抑制、抗炎症、インスリン抵抗性亢進)とエネルギー消費亢進作用を見出した。A-CNP, E-CNP-Tgともに、抗肥満作用を有するが、部分的には異なる作用もあるので、現在、そのメカニズムも含めて検討中である。「
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞および脂肪細胞特異的CNP過剰発現マウスによる検討により、CNPの肥満における脂肪細胞の機能を着実に見出していることに加えて、血管内皮細胞特異的CNP過剰発現マウスを用いた検討も進み、多角的な解析研究が推進中であり、ほぼ計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、肥満病態における作用を 脂肪細胞および血管内皮細胞由来の両細胞から過剰発現したCNP(CNP-Tg)の作用の検討を推進する。それに加え、肥満モデルマウスとして知られるob/obマウスを用い、CNP-Tgと組み合わせた解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として計上していた消耗品の中で、研究室共有の物品が多く、それを使用したため、計画より支出が少額となり、次年度使用額が生じた。次年度は、肥満・糖尿病モデルマウスのひとつであるobマウスにCNPを過剰発現するマウスを用いた検討を計画しているため、obマウス購入に次年度使用額も含めた翌年度分の助成金を活用する。
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