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2017 年度 実施状況報告書

ヒストンメチル基転移酵素遺伝子異常による巨人症の機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K16164
研究機関神戸大学

研究代表者

隅田 健太郎  神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50791422)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード巨人症 / インスリン様成長因子 / ヒストンメチル化 / 遺伝子変異 / SOCS2
研究実績の概要

Luscan-Lumish症候群による巨人症の機序を明らかにするため、患者の細胞を用いて解析を行った。SETD2がヒストンメチル基転移酵素である事が知られている事から、患者の細胞において、SETD2の機能であるヒストンメチル化が変化しているか否か、SETD2変異のメチル化能への影響を解析した所、患者におけるメチル化能はコントロールと比較し有意な変化を認めず、SETD2のヒストンメチル化によって調節されている遺伝子の発現量には明らかな変化を認めなかった。しかし患者細胞ではGH投与でのSTAT5のリン酸化の亢進を認めていると同時に、下流のSTAT5bの転写活性は亢進を認めた。MAPKやSTAT1のリン酸化、IGF-Iシグナルには変化を認めなかった。そこでSETD2のコンストラクトを作成し、HEK293細胞に導入することでヒストンメチル化やGHシグナルへの影響を調べた。SETD2野生型および変異型の遺伝子を導入したがSETD2のヒストンメチル化能に明らかな変化は見られなかった。しかしSETD2を強制発現した細胞ではGH刺激下におけるSTAT5のリン酸化が亢進しており、GHシグナルの亢進がある事を明らかにするとともに、GHシグナルを負に制御するSOCS2(Suppressor Of Cytokine Signalling 2)の発現が低下していた。SETD2がSOCS2発現を低下させることにより、GHシグナルの亢進を引き起こしている可能性、またそれがSETD2の遺伝子変異により機能亢進している可能性、さらにその機序としてSETD2のヒストンメチル化能を介していない別の機序による可能性があり、現在さらなる解析をすすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度に施行する予定の実験を概ね予定通り施行した。患者細胞におけるヒストンメチル化の変化の解析については細胞破砕液およびヒストン分画での実験においても明らかな差を認めなかった。患者細胞におけるGH,IGF-Iシグナルの変化の解析については、GHシグナルのSOCS2やJAK2についてはコントロール細胞でもかなりの差があり評価困難であった。GHシグナル下流の評価について、IGF-I mRNAは量がかなり少なく評価困難であったがルシフェラーゼによるSTAT5レポーターアッセイを行い良好な結果を得た。IGF-IシグナルについてはAKTのリン酸化は変化がなく想定していた結果を得た。正常・変異SETD2コンストラクトの作成は患者細胞からの増幅は困難であり、2008年以前のSETD2配列のcDNAおよび2008年から追加になった部分のcDNAを購入し合成を行った。HD fusion cloning kitでは合成DNAが作成困難であったため、overlap extension PCR法を行い合成cDNAを作成できた。また変異cDNAについてはQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kitを用いて変異cDNAを作成できた。

今後の研究の推進方策

今回HEK293細胞に遺伝子を導入し解析を行ったが、内因性SETD2が存在していることから、導入SETD2の機能を十分に見れない可能性があるため、SETD2が変異している事がわかっている細胞株である腎細胞癌細胞株A498, LB996を用いて検討する。またそれでも困難である場合は、SETD2の変異ではなく、ノックアウトあるいはノックダウンさせる必要があると考えられる事から、ゲノム編集技術であるCRISPRやTALENを用いてSETD2を欠損させた培養細胞を作成して同様の検討を行う。また予定通りに正常SETD2がGHシグナル関連タンパクと相互作用を起こすかどうか、免疫沈降法を用いて解析する。また今回患者細胞でのヒストンメチル化は変化がなかった事が、非ヒストンタンパクのメチル化について、メチル化抗体で免疫沈降を行いSETD2によるGHシグナルタンパクのメチル化の有無を解析する。

次年度使用額が生じた理由

物品費については研究室にあるもので実験可能であり、旅費は2017年は近畿圏で近くの会場でもあり科研費は使用しなかった。
2018年度は研究室の消耗品がなくなってきているためすでに物品費を請求し始めている。また旅費についても近畿圏でなく遠方であるため科研費を使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Luscan-Lumish症候群による巨人症発症機序の解析2018

    • 著者名/発表者名
      隅田 健太郎
    • 学会等名
      第91回日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] Luscan-Lumish症候群による巨人症の機序の解析2017

    • 著者名/発表者名
      隅田 健太郎
    • 学会等名
      第90回日本内分泌学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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