研究課題
本研究は自己免疫性内分泌疾患の発症メカニズムの解明と臨床応用を目指し、『抗PIT-1抗体症候群』病態解明の手法を基礎として、新たな症例を解析から診断・治療への臨床応用の研究基盤を確立することが目的である。①新規自己免疫性内分泌疾患の病態解析腫瘍随伴症候群に伴いACTH単独欠損症を呈したと思われる症例に特に着目し解析を行った。肺癌(大細胞型神経内分泌癌)組織内に異所性抗原としてのACTH発現が認められ、患者IgGがACTHの前駆蛋白であるPOMCを認識し、細胞障害性T細胞(CTL)がPOMCを認識することを示した。加えて、一般の異所性ACTH産生腫瘍症例においても腫瘍内のみならず下垂体組織にもCTLが浸潤することを示した。この病態は新たな自己免疫性内分泌疾患の発症機構の提唱であり、論文発表を行った。また、『抗PIT-1抗体症候群』の解析を継続し、PIT-1蛋白が細胞内でプロセシングされ、fragmentがMHC/HLA classI上に提示される事を用い示した(論文投稿中)。また、ACTH単独欠損症の病態に関する患者血清を用いた研究を並行して行った(論文投稿準備中)。②他領域IgG4関連疾患症例の下垂体炎合併頻度IgG4関連疾患の代表として自己免疫性膵炎(AIP)を対象として下垂体機能低下・下垂体炎のスクリーニングを血液検査・下垂体MRIを用いて検討を行った。27例のAIP症例をスクリーニングを行い、1例の下垂体炎/機能低下症症例を認めるとともに、下垂体機能が維持されているにも関わらずMRIでempty sellaを呈する4例を認めた。empty sellaについては一般人口よりも高頻度で認められたことから、IgG4関連疾患に合併し、下垂体炎が起きたものの、下垂体機能低下までは至っていない症例があることを示唆するためと考えられた。同臨床研究については論文発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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