研究課題/領域番号 |
17K16172
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
林 孝典 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40724315)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エストロゲン / ニューロエストロゲン / 食欲 |
研究実績の概要 |
エストロゲンが摂食行動や摂食障害に対して影響を及ぼすのは明らかだが、その分子機構については不明な点が多い。この理由は大きく2つある。1つは、卵胞から供給され、全身性に影響を及ぼす内分泌的なエストロゲン作用と、脳神経内で de novo 合成されるニューロエストロゲンが自己分泌・傍分泌的に食欲などの生理応答に影響するからである。2つ目に、エストロゲンが骨代謝や肝脂質代謝介してシグナル物質の分泌量を変化させ、2次的に食欲をコントロールしている可能性が高いことである。これら複雑なエストロゲン生理作用メカニズム解明に取り組んでいる。 全身性のエストロゲンとニューロエストロゲンが食欲に及ぼす影響を分けて解析するため①ArKOマウス:Aromataseノックアウトマウス 全身でエストロゲンが合成できないモデル ②OVXマウス:卵巣結紮マウス 卵巣からのエストロゲン供給を停止させたモデル ③BrTG ArKOマウス:脳特異的Aromatase発現マウス ニューロエストロゲンのみが生合成されるモデルの食餌量を測定した。その結果,ニューロエストロゲンが食餌量に大きくい影響している可能性を示唆する結果が得られた。 また,マウス胎児由来視床下部神経細胞株N38を用いてエストロゲンがインスリンシグナルの活性化(Akt・p70S6Kリン酸化)に及ぼす影響をウェスタンブロット法と免疫組織染色法にて検討した結果,エストロゲンはインスリンシグナルの活性化やLeptin受容体の発現を増加させた。 以上の結果から,ニューロエストロゲンが食欲に対して非常に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた実験によって非常に良好な結果が得られ,また培養細胞を用いた研究も順調に経過している。一方で新たなモデルマウス作成に若干の遅れが見られるため,総合的見るとおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
脳特異的アロマターゼノックアウトを作成して解析を行う予定であり,そのために準備中である。マウスの輸送代やクリーンナップに費用と時間が掛かるため,卵巣結紮モデルとアロマターゼ阻害薬も使用して実験を進めるよていである。
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次年度使用額が生じた理由 |
他財団から研究助成費を得られたため,2018年度にモデルマウス作成費用に充てるため,科研費の使用を減らした。
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