研究課題
本研究では手術適応となるアルドステロン産生腺腫を効果的に検出するために腫瘍由来エクソソームに着目し、エクソソームに内包される疾患特異的miRNAをターゲットとしたバイオマーカーを探索を目的としている。2017年度にアルドステロン産生腺腫10例、副腎過形成10例を対象として、患者末梢血血漿サンプルよりExoRNeasy Plasma kitを用いてエクソソーム抽出を行い、miRNAアレイにより両群での発現変動差異のあるmiRNAを探索した。アレイ解析から、APA群において発現低下が13種類、発現上昇が7種類のmiRNAを同定した。2018年度は過年度に施行したマイクロアレイを用いたアルドステロン産生腺腫と副腎過形成で差異を示した、miRNAの標的遺伝子の探索およびPathway解析を行った。候補標的遺伝子については、アルドステロン合成に関連しAPA組織での発現上昇の報告されているHSB3D2やミネラルコルチコイド受容体をコードするNR3C2、副腎皮質腫瘍の成因であるCTNNB1遺伝子が変動のみられたmiRNAの候補遺伝子として抽出された。Pathway解析では細胞膜に関わる因子群で有意な変動がみられた。上記結果はアルドステロン産生腺腫の腫瘍特性に合致した結果であると考えられた。臨床検体の収集については2018年度も継続して行い、検討に必要な検体数を確保できた。2019年度は別cohortを用いて、同定したmiRNAをリアルタイムPCR法で疾患病型間で差異がみられるかを検証する。併せて、副腎皮質細胞株を用いて、同定されたmiRNAの機能確認を行う。
3: やや遅れている
研究代表者の施設移動に伴い、研究環境のセットアップが必要なためmicro RNAの検証研究が遅れている。
検体の収集は継続して行えているため、研究環境を整え、研究をすすめる。2019年度内の研究成果の論文投稿を目標とする。
外注依頼実験の結果返送が年度を跨いだため
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Clinical Endocrinology
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