研究課題
GATA-2のヘテロ変異で発症するMonoMAC症候群は細胞内寄生菌やウイルスに対して易感染傾向を呈する疾患である。同疾患では一部の炎症性サイトカインの産生が低下することが示されている。本研究では、炎症性サイトカイン産生においてGATA-2がいかに関わるかの分子機構を明らかとすることを目的としている。2017年度は、野生型マウス及びGata2へテロ不全マウスに対し、上記の量のLPSを投与後に肺、肝臓、腎臓、小腸の各臓器とともに脾臓を採取し、脾細胞はさらに樹状細胞(B220+CD11c+)、マクロファージ(F4/80+)、単球(lineage- CD11b+CD11c-F4/80low~negative)、Tリンパ球(CD3+)、Bリンパ球(B220+)に分離後にIL-6のmRNA定量を行う。本解析を通じてGata2へテロ不全におけるIL-6の反応性産生の低下に最も重要な細胞種を明らかにすることを目的とした。その結果、樹状細胞分画でGata2へテロ不全マウスにおけるIL-6のLPS反応性産生が低下している可能性が示唆された。現在、Gata2へテロ不全マウスの造血細胞を野生型マウスに移植して、血球細胞におけるGata2ヘテロ不全の重要性を検証するための準備を行っている。GATA-2の機能喪失型へテロ変異がMonoMAC症候群における免疫不全と深く関わるため、その治療法開発の目的で、樹状細胞の前駆細胞である単球系細胞株U937を用いて、GATA-2発現レベルを評価できるバイオアッセイ系を確立した(Tohoku J Exp Med 2018, 2018年日本血液学会にて発表予定)。
3: やや遅れている
樹状細胞の前駆細胞である単球系細胞株U937を用いて、GATA-2発現レベルを評価できるバイオアッセイ系を確立することは出来たものの、炎症性サイトカイン産生においてGATA-2がいかに関わるかの分子機構の解明については計画よりやや遅れを認めている。現在のところ、野生型マウス及びGata2へテロ不全マウスに対し、上記の量のLPSを投与後に肺、肝臓、腎臓、小腸の各臓器とともに脾臓を採取し、脾細胞はさらに樹状細胞(B220+CD11c+)、マクロファージ(F4/80+)、単球(lineage- CD11b+CD11c-F4/80low~negative)、Tリンパ球(CD3+)、Bリンパ球(B220+)に分離後にIL-6のmRNA定量を行う。本解析を通じてGata2へテロ不全におけるIL-6の反応性産生の低下に最も重要な細胞種を明らかにすることを目的とした。その結果、樹状細胞分画でGata2へテロ不全マウスにおけるIL-6のLPS反応性産生が低下している可能性を示唆する結果を得た。来年度以降、移植実験を通じてさらに詳細な解析を行う予定である。
平成29年度の解析を通じて、造血系細胞でのIL-6産生低下が大きく寄与している可能性が示唆されため、現在準備中である移植実験を通じて、移植片の生着を確認後にLPSを投与し、血清IL-6濃度及び脾臓細胞を各血球系におけるIL-6 mRNA発現を、野生型マウス由来の造血細胞を移植した対照群と比較する。さらに、IL-6以外のGATA-2により制御されうる炎症性サイトカインを同定する目的で、LPS投与後の野生型マウス及びGata2へテロ不全マウスの血清を用いてFACSを用いたサイトカインアレイにより網羅的な解析を行う。血清については既に採取・保存済みであり、速やかに施行する予定である。またGATA-2が以下にIL-6産生を制御するかについての解析についても施行する。GATA-2のノックダウンかつLPS添加によるIL-6 mRNAの発現変化、クロマチン免疫沈降法によるGATA-2蛋白質の制御領域における結合、ルシフェラーゼアッセイを予定している。
理由:研究の初年度であり、研究成果として発表できる状況になかったため、当初予定した旅費を執行しなかったため。使用計画:成果発表のための旅費として平成30年度請求額と合わせて使用する予定である。
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The Tohoku Journal of Experimental Medicine
巻: 244(1) ページ: 41-52
10.1620/tjem.244.41
http://www.rh.med.tohoku.ac.jp/index.html