研究課題
GATA-2は造血幹細胞及び間葉系幹細胞の機能維持に重要な役割をもつ転写因子である。近年、家族性に樹状細胞や単球、NK細胞 、B細胞の著明な減少に伴う易感染性を呈する複数の家系の解析から、GATA-2遺伝子の胚細胞におけるヘテロ変異がこの病態の原因であることが明らかとされた。申請者らは、Gata2ヘテロ不全マウスにおいては、リポ多糖(LPS: Lipopolysaccharide)投与による血清IL-6の反応性上昇が有意に減弱することを明らかとした(Onodera et al. Blood 2016)。この結果は、GATA-2が免疫系細胞の分化以外に関わる以外に、サイトカイン産生において何らかの重要な役割を果たす可能性を示唆する。しかしながら、現在のところ、GATA2遺伝子の上流の制御機構については十分に明らかになっていない。本研究では樹状細胞の一部が単球から分化していることに着目し、単球細胞株U937を用いてGATA2遺伝子の発現レベルを評価するバイオアッセイ系の構築を行うことを目的とした。GATA-2の転写開始点から上流0.5 kbまでの領域と、重要なエンハンサー領域であるIntron4 +9.9 kb領域)をタンデムに2つ挿入したコンストラクトを作製したコンストラクトを挿入したルシフェラーゼベクターpGL4.20 (GATA2 -0.5 kb/EE)を安定発現したU937クローンを樹立し評価したところ、GATA2バイオアッセイ系として有用であることが示唆された。今後、このバイオアッセイ系を用いて、cDNAライブラリー、RNAiライブラリーおよび低分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニング法を行うことにより、GATA2遺伝子の上流の制御機構の解明及びMonoMAC症候群に対する新規治療法の開発に繋がることが期待される。
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