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2018 年度 実施状況報告書

Ph+ALLにおけるBCR遺伝子切断点の意義

研究課題

研究課題/領域番号 17K16186
研究機関名古屋大学

研究代表者

西脇 聡史  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80753037)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードBCR遺伝子切断点 / フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 / BCR-ABL融合遺伝子
研究実績の概要

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)のBCR遺伝子切断点として、Major-BCR(Ma-BCR)とminor-BCR(mi-BCR)の大きく2つの代表的なものが存在することが知られているが、その分子遺伝学的意義は明らかとはされておらず、今回新たな着目点して研究を進めている。
本年度は、初診時において正常血球の同定が困難であった症例において、二重染色を用いて再検討を行った。さらに、初診時の細胞をフローサイトメトリーを用いて分画別に分取し、それぞれの分画における融合シグナルを検討するとともに、遺伝子発現プロファイルの検討を行っている。また、Ph+ALLでは同種造血細胞移植が重要な根治療法と位置付けられているため、日本造血細胞移植学会のレジストリーデータを用いてMa-BCRとmi-BCRの移植成績への影響を検討した。
1. MPO染色との二重染色を行うことでごく少数の芽球以外の血球系統にBCR-ABL融合シグナルを検出することが可能となり、Ma-BCRの大多数のみでなく、mi-BCRの一部でも芽球以外に融合シグナルが検出されることが明らかとなった。
2. 初診時細胞をフローサイトメトリーで分画ごとに分取して融合シグナルを検討し、FISH法とは別の方法でも芽球以外に融合シグナルが認められることを確認している。
3. BCR-ABL融合遺伝子の発現している血球系統の分類は BCR遺伝子切断点のみで分かれるものではないことが示唆されたため、遺伝子発現プロファイルを検討し、新たな分類が可能であるかを検討している。
4. 移植時のMRDと移植ソースによってBCR遺伝子切断点の移植成績に及ぼす影響は異なることを示唆するデータが得られ、現在結果をまとめているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた形態的な区別では難しい症例でも二重染色を行うことで芽球以外の血球を同定してBCR-ABL融合シグナルの見られる血球系統をより詳細に検討できた。また、BCR遺伝子切断点の治療成績への影響についても順調に検討が進めることができている。

今後の研究の推進方策

研究計画当初はBCR遺伝子切断点によってBCR-ABL融合遺伝子の発現している血球系統が分かれることを想定していたが、一部の症例でBCR遺伝子切断点の違いとBCR-ABL融合遺伝子の発現している血球系統の違いが一致しない例があることが明らかとなったため、遺伝子発現プロファイルを検討してその意義を分子遺伝学的にさらに踏み込んで検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

BCR遺伝子切断点による数種類の遺伝子変異パターンの違いを調べる予定であったが、BCR遺伝子切断点のみでBCR-ABL融合遺伝子の発現する血球系統が分かれるわけでは必ずしもないことが判明したため、遺伝子発現プロファイルのパターンの違いを次年度に検討することとしたため。
次世代シークエンサー(NGS)を用いた遺伝子発現プロファイルの解析を計画しており、NGS関連の試薬等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Availability of HLA-allele-matched unrelated donors: estimation from haplotype frequency in the Japanese population.2019

    • 著者名/発表者名
      Nishiwaki S, Tanaka H, Kojima H, Okamoto S
    • 雑誌名

      Bone Marrow Transplantation

      巻: 54 ページ: 300-303

    • DOI

      10.1038/s41409-018-0263-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phase I study of cord blood transplantation with intrabone marrow injection of mesenchymal stem cells: A clinical study protocol2018

    • 著者名/発表者名
      Goto T, Murata M, Terakura S, Nishida T, Adachi Y, Ushijima Y, Shimada K, Ishikawa Y, Hayakawa F, Nishio N, Nishiwaki S, Hirakawa A, Kato K, Takahashi Y, Kiyoi H
    • 雑誌名

      Medicine

      巻: 97 ページ: e0449

    • DOI

      10.1097/MD.0000000000010449

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 移植実績に基づく同種造血幹細胞移植細胞ソースの入手に関する検証2019

    • 著者名/発表者名
      西脇聡史、宮村耕一、神田善伸、高梨美乃子、内田直之、福田隆浩、池亀和博、大橋一輝、衛藤徹也、小澤幸泰、一戸辰夫、熱田由子、岡本真一郎
    • 学会等名
      第41回日本造血細胞移植学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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