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2017 年度 実施状況報告書

卵巣を対象としたHTLV1感染動態の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K16198
研究機関東北大学

研究代表者

平舘 裕希  東北大学, 農学研究科, 助教 (20649157)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード卵巣 / HTLV1 / STLV1
研究実績の概要

卵巣におけるHTLV1の感染動態を解析するため、ヒト化マウスおよびニホンザルを動物モデルとして解析を行った。マウスを用いた解析では、肝臓に臍帯血造血幹細胞を投与して作成した雌ヒト化マウスに対して、HTLV1の細胞株であるMT2を腹腔投与し感染させた。その後一定期間ののちに卵巣の摘出を行い、摘出群と非摘出群の間でPVL(細胞100個あたりの感染細胞の比率)を経時的に測定することにより、卵巣の存在が感染動態に及ぼす影響を解析しようと試みたが、両群の間に明確な差は認められなかった。また同様に感染させた雄個体に対しては性ホルモンの影響を解析するため、エストラジオール17βを皮下投与し、PVL等へ影響し得るかを検討したが、溶媒コントロール区と比較して有意な差は認められなかった。また主な感染細胞であるリンパ球の卵巣内での局在を明らかにするため、非感染個体を含む卵巣の組織切片を作製し、免疫染色等を行った。
一方で、ニホンザルはHTLV1と類縁性を有するSTLV1に感染していることから、STLV1に感染したニホンザルの卵巣を解析することによりHTLV1感染に外挿し得る知見が得られることを期待して、STLV1感染個体の解剖、サンプリングを行った。サンプルは組織切片の作製、DNAやRNAを抽出後、real-time PCRによるプロウイルスの検出および遺伝子発現解析を行った。感染個体の卵巣からはPVLが検出され、CD3抗体を使用した免疫染色ではCD3陽性細胞が血管周辺部に認められたことから、卵巣中に感染細胞が存在していることが示唆されたが、その局在については更に解析が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト化マウスを用いた解析では計画通り、卵巣を摘出し非摘出群と比較することができた。real time PCRを用いたPVLの測定や遺伝子発現レベルの解析などの実験系も整い、非摘出群との間で明確な差は無いという結果ではあったが知見を得ることができた。ニホンザルを用いた解析では、real time PCRにより卵巣組織抽出DNAからプロウイルスを標的とした増幅産物が得られたことから、感染個体の卵巣に感染細胞が存在することを示唆する結果が得られた。組織内での感染細胞の局在については、CD3陽性細胞の血管周辺部への集簇が認められたが、感染細胞の局在とは必ずしも一致しているとは言えないため、in situ hybridizationによってプロウイルスDNAまたは特異的な転写産物の局在が判明すれば、より直接的な証拠になりうると期待される。

今後の研究の推進方策

卵巣組織内の感染細胞の局在を解析するため、マウスでも固定試料から作製した組織切片を用いて種々のマーカー抗体染色またはin situ hybridizationを試みる。研究の進捗状況に応じて適宜学会発表、論文投稿の準備を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

組織切片を使用したin situ hybridizationによるプロウイルスまたはウイルス特異的遺伝子転写産物の検出系の検討を行ったため、実際に使用するprobeの合成発注に至らなかった。次年度の発注に備え繰り越す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 閉経期雌ニホンザルの生殖器官におけるSTLV-1感染動態の解析2017

    • 著者名/発表者名
      平舘裕希
    • 学会等名
      第4回日本HTLV1学会
  • [学会発表] 閉経期雌ニホンザルの生殖器官におけるSTLV-1感染動態の解析2017

    • 著者名/発表者名
      平舘裕希
    • 学会等名
      第160回日本獣医学会

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公開日: 2018-12-17  

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