造血幹細胞は加齢にしたがって質的に変化し、リンパ球産生能が低下するなどの老化現象が生じることが知られている。一方、骨髄の血管構造も加齢とともに変化することが報告されている。本研究の成果は、血管安定性を制御することでリンパ球系への分化能を回復できる可能性を示唆しており、加齢に伴って低下したリンパ球分化能を回復するなどの臨床応用へ向けた基盤となると考えられる。また、研究代表者は以前に白血病細胞と血管内皮細胞との相互作用の重要性を報告しており、血管安定性の調節による造血細胞と血管系との相互作用の制御は、白血病などの造血器腫瘍における新規治療ターゲットとなる可能性がある。
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