実験1:PT/MHC classII複合体が細胞表面に輸送されるかどうかを確認するために、HEK293T細胞(ヒト腎臓上皮細胞株)による強制発現系を用いた。HLAはaPS/PT陽性患者に発現頻度の高いHLADRB1*1302とDRB1*1101、DRB1*1201を選択した。HLAα鎖とβ鎖、PTをHEK293T細胞に強制発現させ、フローサイトメリー(FCM)を用いてPT/MHC classII複合体の表出を確認した。PTおよびMHC classIIを共発現したHEK293T細胞において抗ヒト-PT抗体と抗ヒト-HLA-DR抗体がどちらも結合する細胞集団が認められ、PT/MHC classII複合体が表出されている事が示唆された。またその細胞に特異的に231D(マウスモノクローナルaPS/PT)が結合する事を確認した。またHLA alleleによって抗体の結合親和性に違いがあり、HLADRB1*1302と DRB1*1101とPTを共発現した細胞表面にPT/MHC classII複合体が確認された。 実験2:単球がPTを合成するかどうかを確認するために、THP-1細胞(ヒト単球由来細胞株)をPhorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)20nMで刺激し、polymerase chain reaction(PCR)でPT mRNAの発現を、Western Blotting(WB)およびFCMでPT蛋白を確認した。無刺激およびPMAで2-12h刺激したTHP-1細胞の全ての検体でPT mRNAの発現を確認した。WBではPMA刺激を行ったTHP-1細胞lysateでPTタンパクを確認し、無刺激のTHP-1細胞lysateと培養上清液にはPTが合成されていない事を確認した。またFCMではPMA刺激によりTHP1細胞内でのPT発現が亢進していることを確認し、細胞表面の231Dへの結合親和性が高かった。またHepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞株)では231Dへの結合親和性は増加せず、抗原提示細胞ある単球特異的に認める現象であることが示唆された。
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