研究課題
これまでも既報から全身性強皮症の炎症、皮膚硬化病態に関わることが示唆されており、実際に全身性強皮症患者の末梢血において特徴的な炎症性の遺伝子発現変化を認めたことから、単球に着目した。再現性、網羅性の高いsingle-cell RNA-seqの解析系の検討を行い、最終的に約1600細胞のsingle cellのトランスクリプトーム解析を同時に実施可能であるICELL8を本研究のプラットフォームとして選択した。細胞回収条件、保存条件の最適化を行ったのち強皮症単球集団のシングルセルRNA-seq解析を行った。その結果、強皮症単球はシングルセルレベルの発現情報に基づいて亜集団に分類できることが明らかになった。更に、うち一つの単球亜集団は、全身性強皮症患者単球のバルク解析において、発現差解析、WGCNA解析によって同定された炎症性の遺伝子群を特徴的に発現していた。つまり、バルク解析において強皮症患者の単球に認める炎症性の発現変化の一部は、共通した遺伝子発現制御機構を有する遺伝子ネットワーク(パスウェイ)を形成しており、末梢血の単球のうち、ごく一部の炎症性の単球亜集団によって生じていることが示唆された。シングルセルRNA-seqによって同定されたこの炎症性の単球亜集団は、全身性強皮症の病態に関わる可能性があり、特徴的な発現遺伝子群は全身性強皮症の病態に関わる新規のバイオマーカーや治療標的となる可能性があるものと考えられた。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (2件)