今後の研究の推進方策 |
今後、拘束ストレスがI型アレルギー反応に及ぼす効果が本当に概日時計依存的であるか否かについて検討するため、拘束ストレス負荷時にPer2タンパク質分解酵素であるカゼインキナーゼ(casein kinase)Iδ/εの阻害剤(PF5006739)(10mg/kg/day, s.c.)を毎日定時刻ZT10(16時)に投与することによって正常な概日リズムを薬理学的に維持しておき(Sci Rep 6:29983, 2016)、その時の拘束ストレスのアナフィラキーショックモデルへの影響について検討する。本実験によって拘束ストレスがI型アレルギ ー反応(アナフィラキシーショックモデル)に与える影響が概日時計依存的であるか否かについて明らかにすることができる。本実験ではマスト細胞の概日時計が特異的に重要か否かの判断はできないが申請者らの先行研究の結果とあわせて拘束ストレスによるI型アレルギー反応制御におけるマスト細胞概日時計の重要性を示唆することができると考えている。また拘束ストレスがマスト細胞におけるIgE受容体シグナル関連分子群発現の日内変動に与える影響について、拘束ストレスを与えたマウスとコントロールマウスから腹腔マスト細胞を10時、16時、22時、4時に単離し、IgE受容体シグナル関連分子群(FcεRI, Syk, Lyn, Orai1, etc.)のmRNAレベルでの発現変化について比較検討する。またFcεRI分子(FcεRIα)については Flow cytometryを用いてたんぱく質レベルでも比較検討する。本実験によって拘束ストレスがマスト細胞のIgE受容体シグナル関連分子発現の日内変動に与える影響が明らかになり、なぜ拘束ストレスがI型アレルギー反応を制御するかに関する分子メカニズムについて洞察を得ることができる。
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