研究実績の概要 |
樹状細胞(Decdriti cells:DCs)は、獲得免疫において重要な役割を果たしているが、免疫寛容を導く点においても重要な抗原提示細胞の一つである。自己免疫疾患やアレルギー疾患の分野において、より選択的で副作用が少なく長期間寛解を維持できる治療の研究が進められており、自己反応性T細胞を標的とし免疫寛容に導く樹状細胞(tolerogenic DCs)を用いた抗原特異的な治療が注目されている。我々は、Cキナーゼ阻害剤(PKCI)を用いて、炎症環境下でも安定性があり、臨床応用可能な3条件を満たすtDCsを誘導し、さらに、PKCIと他の誘導物質によって誘導されるtDCsを比較し、PKCIが最も優れた誘導物質であることを示した実績がある。関節リウマチ患者、シェーグレン症候群患者の血液を用いて、免疫寛容樹状細胞を誘導できることを証明した。なかでも、20名すべてのシェーグレン症候群(SS)の患者から、PKCI-tDCsの誘導は可能であった。SS患者のHLA-DRB1を解析し、比較的多かったHLA-DRB1*0401, 0803, 0901, 1501などのalleleを持つ患者を中心に解析を行っている。また、共同研究者のANCA関連血管炎のバイオマーカー検索を含めて、MPOANCA陽性の血管炎患者について免疫応答の解析を進めている。未熟DCs、成熟DCsおよびPKCI-tDCsから全RNAを抽出し、miRNA arrayにて比較解析を行い、PKCI-tDCsに発現の高いlet-7c, miR-15a, miR-130a, miR-192など12種類のmiRNAをスクリーニングを行った。これらのmiRNAをDCsに導入し、細胞の表現型,サイトカイン産生量の比較、CCR7発現などを比較し、PKCI-tDCsと同様の表現型を誘導するmiRNAを同定することを進めている。
|